クラクフとは
ポーランド南部のクラクフは、ワルシャワに次ぐ同国第二の都市。その歴史は古く、ポーランド王国の首都となったのは1038年のこと。それ以降、同国の複雑な歴史を反映し、ポーランド・リトアニア共和国、オーストリア帝国、クラクフ大公国と移りかわっていった国々の要地として栄えてきました。
ワルシャワをはじめ、ポーランドの多くの都市は第二次世界大戦期に破壊され、現在の街並みは戦後に復興を遂げた姿ですが、クラクフは戦火を免れ、中世から続く街並みがそのまま残されています。1978年には世界で最初の世界遺産の一つとして、クラクフ歴史地区が世界文化遺産に登録されました。このようにクラクフは、「ポーランドの京都」と言っても過言ではない、歴史豊かな街なのです。
クラクフへの行き方、アクセス
日本からクラクフへの直行便はありません。クラクフ・バリツェ空港空港へはLOTポーランド航空利用での成田発ワルシャワ乗継便の他、他の欧州系航空会社を利用し、ヨーロッパの各都市乗継での移動が可能です。LOTポーランド航空利用の場合、成田〜ワルシャワ間が所要約11時間、ワルシャワ〜クラクフ間が所要約1時間です。クラクフ・バリツェ空港からクラクフの中心部への移動は、空港直結駅からの列車利用が便利で、空港駅からクラクフ中央駅まで所要約20〜35分。クラクフ中央駅はクラクフ歴史地区に近く、徒歩で約15分です。
また、ワルシャワから鉄道で移動することも可能です。ポーランド国鉄PKSが運営する高速列車EIPを利用すれば、クラクフ中央駅まで所要約2時間20分です。
※航空機や鉄道のスケジュールは、各会社のホームページをご確認ください。
クラクフで見逃せないスポット3選
中央広場
ゴシック、ルネサンス、バロックなど様々な様式の建築が彩るクラクフ歴史地区。その中心地が、ヨーロッパのなかでも最大級の広さを誇るクラクフ中央広場。色とりどりの美しい建築に囲まれた正方形のかたちをした広場は、各辺が約200mもあるという広さです。
広場の中心を占めるルネサンス様式の美しい建築が織物会館。元は14世紀の建築で、16世紀の火災を経て現在のルネサンス様式に再建されました。かつては反物の取引市場でしたが、現在ではお土産物屋さんが並んでおり、地下はクラクフの歴史を展示する博物館になっています。
聖マリア教会
中央広場に面して建つ、二つの高さの異なる塔が並んだ建築が聖マリア教会。レンガでできたゴシック建築の美しい佇まいは、クラクフで最も美しい教会と讃えられています。その塔からは一時間ごとに時間を告げるトランペットの演奏が行われ、ヘイナウと呼ばれています。演奏は曲の途中で終わってしまいますが、これは、ある伝説に基いたもの。13世紀にタタール人がこの街を襲ったとき、トランペット吹きが危険を知らせようとした所、演奏中に矢で射殺されてしまったというのです。その勇気を讃え、ヘイナウの演奏は今に続く伝統となり、特に毎日正午の演奏は、そのメロディがラジオでポーランド全国及び国外に広く放送されています。
バベル城
14世紀に建設が開始され、16世紀に首都がワルシャワに移るまで、ポーランドの歴代の王たちが居住してきたのがこのバベル城です。ヴィスワ川沿い、バベルの丘の上に聳えるその佇まいは、歴史の街クラクフを象徴するにふさわしい美しさ。鐘楼が目印の大聖堂はポーランドの歴代の王が戴冠式を行った由緒ある場所で、現在は王たちの墓所になっています。
クラクフ近郊のおすすめスポット
ヴィエリチカ岩塩坑(世界遺産)
クラクフの南東約14kmにあるヴィエリチカ岩塩坑は、13世紀以降、1996年に至るまで、岩塩の採掘でクラクフの経済を支えてきました。その規模は巨大で、地下9階、約320mの深さに、総延長300kmに及ぶトンネルが迷宮のように広がっています。必見なのが、地下にあるとは思えない美しさの聖キンガ礼拝堂。堂内を照らすシャンデリアから、聖者像や祭壇の装飾に至るまで岩塩の彫刻でできているという驚異の礼拝堂です。クラクフ歴史地区と共に、1978年に世界で最初の世界遺産の一つとして登録され、今ではポーランド有数の人気観光地になっています。
アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館(世界遺産)
第二次世界大戦期のナチス政権によるホロコーストの象徴となったアウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所。「アウシュヴィッツ」という名はドイツ語で、収容所ができる前はポーランド語で「オシフィエンチム」と呼ばれる町の郊外でした。百三十万人を超えるという膨大な犠牲者を生んだアウシュヴィッツは、「二度とおなじ歴史を繰り返さないこと」を目的として、1947年以降、博物館として保存・公開されており、犠牲者の方々の遺品や写真などの展示が悲劇を伝えています。1979年には、人類の「負の遺産」として世界文化遺産に登録されました。クラクフから西に約66km、バスで一時間半ほどの場所のため、クラクフから日帰りで訪れることが可能です。