フランク・ロイド・ライトとは?
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フランク・ロイド・ライトは(Frank Lloyd Wright/1867-1959年)は、アメリカの建築家。ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエと共に「近代建築の三大巨匠」と呼ばれています(ヴァルター・グロピウスを加え四大巨匠とも)。「空間の魔術師」と呼ばれたライトの建築作品は、今でも多くの建築家やデザイナーに影響を与え続けています。
フランク・ロイド・ライト建築の特徴や魅力、見どころ
ライトが提唱し続けた思想である「有機的建築」は、自然と人間の調和を図ろうとするもので、自然環境と建築の融合を目指す考え方です。「オープン・プラン(流動的な設計)」や「建築空間の内と外の曖昧な境界」、ライトが確立した水平ラインを強調する「プレイリースタイル(草原様式)」などの技法が取り入れられ、自然の造形や原理に基づいた設計がなされています。
![](https://media.eurasia.co.jp/cms/wp-content/uploads/2021/09/プレーリースタイルの代表作「ロビー邸」©︎Dan-Smith_CC-BY-SA-2.png)
フランク・ロイド・ライト建築の見どころは何といっても、自然との調和を目指した意匠。水平面を強調した「有機的建築」に基づく設計や巧妙な空間使い、世界中の様々な文化から影響を受けて施された幾何学的な装飾が魅力的です。
建築好きなら一度は訪れたい!ライトが設計した世界遺産一覧
2019年には、ライトが手がけたアメリカ合衆国の8つの建築作品が、「フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群」としてユネスコの世界文化遺産に登録されました。
ライトの建築作品は、モダニズム建築運動に多大な影響を与え、20世紀の近代建築の発展の中で重要な役割を果たしたという点で高く評価されています。
ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(ニューヨーク州ニューヨーク)
![](https://media.eurasia.co.jp/cms/wp-content/uploads/2021/09/ソロモン・R・グッゲンハイム美術館©︎Jean-Christophe-BENOIST_CC-BY-3-1024x683.png)
ソロモン・R・グッゲンハイム美術館( Solomon R. Guggenheim Museum)は、ニューヨーク市内、セントラルパークからすぐのアッパー・イースト・サイドという地区にある、近現代美術専門の美術館。ライトの設計により1959年に完成し、「カタツムリの殻」とも例えられる印象的な螺旋状の建築物は、中央部が巨大な吹き抜けになっています。見学者は、まずエレベーターで建物の最上部に上がり、螺旋状の通路の壁面に掛けられた作品を見ながら順路を進むうちに、階下へ降りるようになっています。
ユニティ・テンプル(イリノイ州オークパーク)
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シカゴの中心街から西へ約20km、オークパークという郊外の住宅地にあるユ二ティ・テンプル(Unity Temple)は、ユニテリアン・ユニバーサリズム(Unitarian Universalism)という宗教の教会。1905年の設計当時は革命的だった洗練されたデザインと、自然光を巧みに利用した内部のステンドグラス、非常に優れた音響設計により、厳かで静寂な雰囲気の宗教建築です。
フレデリック・C・ロビー邸(イリノイ州シカゴ)
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シカゴ大学に隣接し、アメリカの草原に溶け込むような水平面を強調したデザイン。ライトの代表作の一つでもあるフレデリック・C・ロビー邸(Frederick C. Robie House)は、日本文化の影響も見られる、ライトらしい独自のアメリカンスタイルが特徴的な邸宅です。
タリアセン(ウィスコンシン州スプリンググリーン)
![](https://media.eurasia.co.jp/cms/wp-content/uploads/2021/09/タリアセン©︎QuartierLatin1968_CC-BY-SA-3-1024x763.png)
タリアセン(Taliesin)は、ウィスコンシン州の田園地帯、スプリンググリーンにある、1914年にライトが弟子たちとともに建設した工房、そして共同生活のための建築。周辺の自然景観、建物から彫刻に至るまで全てが美しくあるようにとデザインされています。現在も設計当初の目的のまま、住居や作業場、教育施設として活用されています。
タリアセン・ウエスト(アリゾナ州スコッツデール)
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ライトとその弟子たちが、冬でも日差しが暖かく暖房費を節約できるようにと住んでいたのが、アリゾナ州の砂漠の荒野にあるタリアセン・ウェスト(Taliesin West)です。こちらも周囲の自然環境との調和のため、レッドウッドの木材や砂漠の石材が用いられ、内部の装飾にはサボテンやネイティブアメリカンの象徴が表現されています。
落水荘/カウフマン邸(ペンシルベニア州ミル・ラン)
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落水荘は、百貨店経営者エドガー・カウフマン(Edgar J. Kaufmann)の邸宅として、1936年に作られました。ピッツバーグから南東に約80km、ベアラン (Bear Run) と呼ばれる川の滝の上に建てられ、リビングにある階段からは、直接、水辺に降りることができます。さらに、訪れた際はライトの遊び心に溢れた内装も見逃せません。天然の岩をそのまま剥き出しにしたリビングや、「ザブトン」と名付けられた座椅子などもあり、ガイド付きで見学することが出来ます。
![](https://media.eurasia.co.jp/cms/wp-content/uploads/2021/09/ミニチュアによる落水荘の全体©︎Raunaq-Gupta_CC-BY-SA-3-1024x768.png)
ハーバート・キャサリン・ジェイコブス邸(ウィスコンシン州マディソン)
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ハーバート・キャサリン・ジェイコブス邸(Herbert and Katherine Jacobs House)は1936年、ライトの後期作品の特徴である「ユーソニアンハウス」の中でも最初にできた建築物です。「ユーソニアンハウス」とは、コンパクトかつ手ごろな価格でありながら、魅力に満ち溢れた小住宅群のことです。世界初の「カーポート」や、床暖房、床から天井までの全面ガラス窓など、当時革新的だった工夫やアイデアが詰まっています。
バーンズドール邸/ホリーホック邸(カリフォルニア州ロサンゼルス)
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1917年に完成し、ロサンゼルス中心街から約10km、バーンズドール・アート・パーク内にあるのがホリーホック邸(Hollyhock House)。アリーン・バーンズドールという女性からの依頼で作られ、周囲の芝生の丘からは、ロサンゼルスの街やハリウッドを見渡せます。内部の美しいステンドグラスや、マヤ文明の遺跡からインスピレーションを受けた外観が非常に魅力的です。
日本国内にも現存する、ライトの4つの建築作品
フランク・ロイド・ライトが活躍したのは、アメリカ国内だけではありません。アメリカ以外で唯一、建築当初の姿で残っているライトの作品があるのが、実は日本です。現在では、ライトが設計した建築作品の多くはアメリカ合衆国に残っていますが、日本でもその類まれなる才能を発揮した名建築を見ることが出来ます。
ヨドコウ迎賓館/旧山邑家住宅(兵庫県芦屋市)
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ヨドコウ迎賓館は、兵庫県芦屋市にあり酒屋・山邑太左衛門の別邸として1918年(大正7年)に設計された個人住宅で、国の重要文化財です。ライトは着工前にアメリカへ帰国したため、実際の建築はフランク・ロイド・ライトのもとで建築を学んだ遠藤新(えんどう あらた)と、南信(みなみ まこと)が行いました。芦屋市街が一望できる高台に建てられ、建物は山肌に沿うように階段上に建てられています。
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幾何学的な彫刻を施した大谷石(おおやいし)の柱や壁、複雑な木組み装飾や畳の部屋など、所々に散りばめられた和風の要素からは、ライトの周囲の環境と調和した建物づくりへのこだわりが感じられます。JR芦屋駅からもアクセスが良く、急な坂道を登りながら徒歩約20分、車では5分ほどで訪れることが出来ます。
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自由学園明日館(東京都豊島区)
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自由学園明日館は、1921年(大正10年)、自由学園の教育理念に共鳴したライトが、その校舎として設計し、現在も使用されている国の重要文化財です。1997年(平成9年)の文化財への指定により、老朽化が進んでいた建物が、建築当時の姿を取り戻しました。ヨドコウ迎賓館とともに、建築当時の姿を残す貴重な建築作品であり、見学も可能です。東京都豊島区、池袋駅から徒歩5分ほどの場所にあり、電車からのアクセスも良好です。
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前庭に臨むホールの大きな窓は、高価なステンドグラスを使用する代わりに、木製の窓枠を幾何学模様で施し、工費を抑えつつユニークな仕上がりにしました。落ち着いた色合いと、「プレーリースタイル」の様式、家具や装飾など、細部にライト建築らしさがあらわれています。
旧林愛作邸(東京都世田谷区)
旧林愛作邸は、帝国ホテル支配人の林愛作がライトをアメリカから呼び寄せ、1917年に建設されました。実はライトは日本の浮世絵収集家であったため、ニューヨークの美術関係の仕事で林愛作と出会い、意気投合しました。当時の面影をとどめているのはリビングルームの一室のみで、「プレイリースタイル」の影響を受けた建築となっています。 ※なお、残念ながら非公開のため基本的に内部見学はできません。
帝国ホテル中央玄関/明治村(愛知県犬山市)
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愛知県犬山市の「博物館明治村」内にある帝国ホテル中央玄関は、1923年に完成した旧帝国ホテルの中央玄関をそのまま移築再建した建築物です。設計は、林愛作に依頼を受けたライトが行い、旧所在地である東京都千代田区で、1967年まで利用されました。関東大震災にもほとんど無傷で耐え、それをアメリカで手紙で知ったライトは狂喜した、というエピソードもあります。
首都の迎賓施設の正面玄関にふさわしい、華やかなつくりの外観、そして細部に施されたマヤ調の装飾の造形美を見ることができます。名鉄犬山駅からは車で約20分ほど。登録有形文化財にも指定されている、独特で他に類を見ないこちらの建築は、ぜひ一度は訪れたい場所の1つです。
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