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台湾の旅で絶対訪れたいおすすめ都市、台中市(前編)

2022 5/09
目次

台中とは

彩虹眷村(撮影:ユーラシア旅行社)

台中市は台湾中部の台中盆地にあり、東西には大坑山、大肚山が連なっています。台中市を貫く河川は筏子渓と大里渓があり、またこのほか緑川、柳川、梅川が市の中心地を貫いています。これらの河川は市の美しい景観となっているだけではなく、気温を調節する役割をも果たしています。それゆえ台中市の平均気温は約22.4℃と四季を通じて温暖な気候です。

古くは清朝康熙年間に漢民族によって開墾が進み、次第に集落が形成されてきました。その後の日本統治時代には、清代のインフラ遺産を継承し、鉄道や海運の整備により周辺地域との交流を発展させると共に、市内でも碁盤の目状の道路整備を推進し、政治のみならず台湾中部の経済文化の中心地としての近代都市の地位を獲得し現在に至っています。なお2010年に台湾省が管轄する台中県と台中省轄市が合併して新たに台中直轄市となり、その後台湾屈指の工業都市として急速に発展を遂げ、2017年に人口が新北市に次ぎ台湾第2位になりました(ちなみに第3位が高雄市、第4位が台北市)。

台中への行き方、アクセス

日本から台中までのフライトはございませんので、まずは飛行機で台北まで。なお台北には日本各地からのフライトがある桃園空港と東京羽田空港からのみフライトがある松山空港と2つの空港がございます。飛行時間はご参考までに成田空港→桃園空港は約4時間、桃園空港→成田空港は約3時間20分です。
※航空機の運航スケジュールは、各航空会社のホームページをご確認ください。

桃園空港から台中(台鉄台中駅)まで

1.高速バスの場合
空港から台鉄(日本のJR在来線に相当)台中駅まで乗り換えなしでかつ安上がりのため一番おすすめの方法と言えます。所要時間は約2時間半ほど。
2.高鉄(新幹線)利用の場合
・桃園空港駅→高鉄桃園駅までMRT(地下鉄のようなものとお考え下さい)にて所要時間約20分
・高鉄桃園駅→高鉄台中駅まで高鉄にて所要時間約40分
・(高鉄台中駅に隣接する)台鉄新烏日駅→台鉄台中駅まで所要時間約12分
上記に乗り換え時間を含めますと桃園空港から台鉄台中駅までの所要時間は1時間半前後と見た方がいいでしょう。デメリットはなんといっても取り換えが面倒なこととバスの約2倍費用がかかることですが、メリットは乗り継ぎがうまくいけばより早く到着できることと、バスと違い渋滞の心配をせずに済み、到着時間が読みやすいことがあげられます。

高速バスのほとんどが2-1列シートのため、ゆったりとした座り心地です。(撮影:ユーラシア旅行社)

松山空港から台中(台鉄台中駅)まで

まず松山空港から台中までは高速バスがございません。どの交通手段を使う場合でも、いったん台北駅へ行く必要がございます。台北駅までは以下の交通手段がございます。

・タクシー(所要時間20分。大きなお荷物がある場合一番楽な手段ですが、当然費用が高くなります)
・バス(所要時間30分。地下鉄と比べると乗り換えなしで行くことができます)
・地下鉄(所要時間30分。1回乗り換えなければいけませんが、渋滞の心配はありません)

台北駅から台鉄台中駅までの交通手段は以下の通りです
1.高速バスの場合
やはり乗り換えなしでかつ一番安い方法と言えます。所要時間は2時間40分~3時間ほど。
2.台鉄特急(自強号)の場合
こちらも乗り換えなしで行くことができます。費用は高速バスより少し高くなりますが、渋滞の心配はありません。所要時間は2時間15分ほど。
3.高鉄(新幹線)利用の場合
・台北駅→高鉄台中駅まで高鉄にて所要時間50分~1時間ほど
・(高鉄台中駅に隣接する)台鉄新烏日駅→台鉄台中駅まで所要時間約12分
上記に乗り換え時間を含めますと台北駅から台鉄台中駅までの所要時間は1時間半前後と見た方がいいでしょう。デメリットはやはり取り換えが面倒なことと費用が一番高いことですが、乗り継ぎがうまくいけばより早く到着できます。

台中の見どころ

台中市中心部に今も残る日本統治時代の建造物

台中駅

1905年に開業し、初代駅舎は瓦屋根の木造平屋建てでありました。そして二代目駅舎は1917年に完成しましたが、台湾内で最も美しい駅舎と言われています。設計者は松ヶ崎萬長(つむなが)氏で、同じく松ヶ崎氏が設計した新竹駅(1913年完成)は同じ時代を生きた「日本近代建築の父」と呼ばれる辰野金吾氏設計の東京駅(1914年完成)と姉妹駅でありますが、台中駅も赤レンガを用いていることからどことなく東京駅と似通っており、「辰野式建築」と見られています。

在りし日の二代目台中駅舎(2016年1月撮影:ユーラシア旅行社)

しかしながら2016年10月、線路の高架化に伴い、台中駅も高架駅として生まれ変わりました。そこで二代目は約100年続いた駅舎としての役目は終わりましたが、現在も文化財として保存されています。

高架駅となった三代目台中駅舎(2020年2月撮影:ユーラシア旅行社)
現在は文化財として保存されている二代目台中駅舎(2020年2月撮影:ユーラシア旅行社)

旧台中州庁

旧台中州庁(撮影:ユーラシア旅行社)

台中州庁の起工は1912年で、1913年に第1期部分が完成。その後4度の拡張を経て、1934年に現在の規模となり、日本統治時代の台中州の行政の中心となりました。日本統治時代の後もここに台中市政府(市政府とは日本の市役所に相当)が置かれ、2011年に台中市が台中県と合併して直轄市となり、市政府が新たな庁舎に移るまでこちらの建物が使われていました。

台中州庁の設計は森山松之助氏で、東京帝国大学工科大学建築学科において辰野金吾氏のもとで学び、台湾に渡ってからは台北市の台湾総督府(現在の中華民国総統府)をはじめ、多くの官庁建築を手がけたことで知られています。官公庁としての威厳を色濃く表した設計となっており、建物正面はマンサード屋根が目を引き、建物本体はL字型の2階建てで、左右にある角楼に両翼の建物がつながる設計です。1階入口はドーリア式、2階にはイオニア式の列柱を採用。奥まったバルコニーが正面の陰影を際立たせています。

旧台中市役所

旧台中市役所(撮影:ユーラシア旅行社)
1階部分には「昭和沙龍(しょうわサロン)」なるカフェも入っています(撮影:ユーラシア旅行社)

旧台中州庁の向かいにあるのが旧台中市役所で、1911年に落成。台中庁公共埤圳連合会事務所として使われました。1920年に現在の台中市、彰化県、南投県を合わせた台中州が成立すると、台中市の行政官署「台中市役所」となり、翌年に増築工事も竣工しましたが、現存している建物はこのときのものを引き継いでいます。1945年に日本の統治が終わり国民政府が統治すると、市政府は元の台中州庁に移転したため、1986年までは国民党の党施設として使われていましたが、その後は市の施設となり、現在は市政資料館となっています。なお日本統治時代に由来するため文化遺産上の名義も「市役所」のままであります。

建物は地上3階、地下1階のL字型の平面二層建築で、レンガ、木材、鉄骨が用いられ、台中で初めて鉄筋コンクリートも使用されました。エントランスは6本の大理石の円柱で支えられ、側面は赤いレンガがアクセントとなり、屋根は窓つきの小部屋がある古典式のドームになっています。

彰化銀行

彰化銀行(撮影:ユーラシア旅行社)

前身は日本統治時代の1905年に彰化庁で設立された「株式會社彰化銀行」であり、1910年に台中支庁に本店を移転しました。その後1938年に日本人の白倉好夫氏と畠山喜三郎氏による設計の元、現在も使われている建物が完成しました。現在も銀行として営業しているため、営業時間であれば中に入って見学することが可能です。

全安堂(現台湾太陽餅博物館)

全安堂(撮影:ユーラシア旅行社)

彰化銀行の隣に赤レンガの典型的な辰野式建築がありますが、やはり日本統治時代に建てられました。元来は「全安堂」という薬屋でありましたが、元の家主が外国へ移民したことから、長年使われることなく廃墟同然になっていたこの建物を改修し、台中銘菓の「太陽餅」のことを知ることができる博物館となりました。なお太陽餅とは丸い形をしたパイ生地のお菓子で、台中市内には太陽餅を扱う菓子店が数多く点在しますが、この博物館でも購入することができます。

旧台中市立図書館

旧台中市立図書館(撮影:ユーラシア旅行社)

日本統治時代の1929年に完成。現在は合作金庫銀行台中支店として使われています。

道禾(どうわ)六藝文化館

道禾六藝文化館(撮影:ユーラシア旅行社)

道禾六藝文化館は日本統治時代の1937年に建てられたかつての台中刑務所演武場で、ここで司獄官、警察官が日々武道の鍛錬に励んでいました。演武場は左右対称の建築様式で、中央奥には神棚があり、神棚に向かって左側が柔道場、右側が剣道場です。建築は基礎を地面より上げ、正面には「仿木構造」と呼ばれる石やコンクリートで木を模した構造と壁柱飾りがあり、屋根は入母屋式で大きな鬼瓦と破風装飾があります。

彩虹眷村(さいこうけんそん)

彩虹眷村(撮影:ユーラシア旅行社)

「眷村」とは軍人村を意味します。第二次世界大戦後、国共内戦によって100万人を超える人たちが台湾に移住しました。多くの国府軍兵士には眷村が居住地として提供されました。彩虹眷村は台中市郊外に建設された眷村の一つで、2000年代終わりには老朽化と再開発のため取り壊しが決まっていましたが、2008年のある日、住民の「黄じいさん」こと黄永阜さんが村内の壁や地面一面に絵を描き始め、そのカラフルな壁画が話題となり、観光スポットとして保存されることになりました。なお黄さんは1924年1月16日生まれで、今年で御年98歳。今でも絵を描き続けており、運が良ければ黄さんとお会いすることも可能です。
★アクセス:台中駅から約10㎞。路線バスも運行されており、所要時間は1時間強。もしくは台鉄で新烏日駅まで行き(所要時間12分)、そこからでバスで向かうこともできます(新烏日駅→彩虹眷村までの所要時間は約20分)。

女子学生に囲まれる黄じいさん(撮影:ユーラシア旅行社)

高美湿地

桟橋の突き当たりで湿地に降りることができます(撮影:ユーラシア旅行社)

高美湿地は清朝道光年間彰化県志中の「高密」と呼ばれていたところですが、日本統治時代に「高美」と改名されました。かつては海水浴場でしたが、戦後に台中港北岸で砂堤防が築かれて以来砂礫が堆積し現在の湿地帯となりました。高美湿地の面積は約300ヘクタールで「大肚渓口湿地」の面積の十分の一にすぎませんが、乾地と湿地の壌土、砂質壌土、また沼地が相まっているため、豊富で複雑な湿地生態が形成されています。そのため多くの種の鳥類、魚類、甲骨類、その他無脊椎動物が生息しています。また「台湾のウユニ塩湖」とも称されており、特に干潮時には湿地の中に降りることも可能でので、お越しの際はぜひサンダルをご準備いただくとよろしいでしょう。特におススメの時間帯はズバリ夕暮れ時!
★アクセス:台中駅から高美湿地行きのバスが出ています。所要時間は1時間半ほど。

水面に映る夕日が幻想的です(撮影:ユーラシア旅行社)
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