日本三大秘境、祖谷とは
四国は徳島県。その中央に聳える剣山(つるぎさん)を水源とし、西へと流れる祖谷川の流域を祖谷(いや)と呼びます。山々と川が織りなす美しい渓谷と、そこで共存する人々が育んだ風景は、日本三大秘境のひとつに数えられています。ちなみに祖谷川は50キロほど渓谷の中を旅したあと、本流である吉野川へと合流します。
祖谷の見どころ、おすすめ観光4選
その一、かずら橋
祖谷川に架かる橋で、シラクチカズラを編んで造られています。シラクチカズラとはサルナシの別名で、高冷山間地で生育する植物です。太くで丈夫な蔓が、ロープの代わりにぐるぐると柱に巻き付けてあり、なかなかに風流。足元は細い棒が渡してあるだけなので、隙間からは祖谷川の澄んだ流れがよく見えます。川から橋までは4階建ての建物ほどの高さがあるので、ちょっぴりスリリングな気持ちも味わえます。
その二、実はもうひとつある、かずら橋
最初にご紹介したかずら橋よりも上流に、もうひとつのかずら橋があります。それが、奥祖谷二重(おくいやにじゅう)かずら橋です。なぜ「二重」かというと、ここには2つの橋が並んで架けられているからです。大きい方を男橋(おばし)、小さい方を女橋(めばし)といいます。ひとつめのかずら橋と比べるとどちらも大きさは劣りますが、より山奥にあり、「秘境に来た!」感を楽しむことができます。もうひとつ、ここで是非体験していただきたいのが「野猿(やえん)」です。これは人力のロープウェイで、女橋の隣に架けられています。両岸に渡されたロープに、屋形(やかた)と呼ばれる籠が吊り下げられており、これに乗った人が自分でロープを引いて、対岸へと渡る仕組みです。大人3人ほど一緒に乗れて、皆で力を合わせて引くと、結構スイスイ進みます。
その三、小便小僧
祖谷川に並走する街道沿いにひとつ、断崖絶壁に突き出た岩があり、そこに彼は佇んでいます。凡そ200mほどもある谷底に向かって、なんの恐怖心もなく。ユーモアがあっていいですね。
その四、落合集落
祖谷川と、その支流である落合川の合流する山岳地帯にあります。茅葺屋根の民家が山の斜面にぽつぽつと立ち、自然と共存する姿を望むことができます。江戸時代からの伝統を守り抜くその姿勢から、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
平家の落人伝説
1180年から6年かけて行われた治承・寿永の乱(じしょう・じゅえいのらん)。平家とその反対勢力が争った内乱で、日本で初めて全国的に広がった戦いといわれています。この乱で最後の戦いとなったのが、かの有名な壇ノ浦の戦いで、これにて源氏に敗れた平家は全国に散らばっていくこととなりました。そのため日本各地に平家の落人伝説が残っており、祖谷もそのひとつです。
祖谷に逃れたとされているのは、平清盛の甥にあたる平教経(たいらのつねのり)と、安徳天皇。二人は壇ノ浦の戦いで自ら命を絶ったとされていますが、実は入水したのは影武者で、祖谷の地に逃れ、ひっそりと生き延びたという伝説が残っているのです。確かに現代でさえ秘境と言われる祖谷は、隠れ偲ぶには絶好の地であったのかもしれません。祖谷には、その伝説を裏付けるかのように、安徳天皇のお墓があるとされる栗枝渡八幡(くりしどはちまん)神社や平教経が鉾を奉納したとされる鉾神社など、平家ゆかりの地がたくさんあります。
祖谷近郊の見所、大歩危小歩危(おおぼけこぼけ)
まるで漫才コンビのような、一度聞いたら忘れられない名前ですが、これは吉野川の渓谷の一部を指します。吉野川は祖谷川の本流で、高知県から徳島県へと流れる川です。大歩危小歩危はそのなかでも、愛媛県、高知県の県境に位置する徳島県三好市のあたりを流れる地域を指します。上流にあるのが大歩危で、下流にあるのが小歩危。約2億年という長い年月をかけて、川が岩肌を削って創り出した自然美が広がります。日本屈指の激流地帯でもあり「大股で歩くと危ない」、「小股で歩いても危ない」というのが名前の由来だとか。迫力満点の断崖絶壁に挟まれながら楽しめる、舟くだりやラフティングが人気です。
絶対泊まりたい!祖谷渓温泉、秘境の湯
日本三大秘境祖谷渓での宿泊には、その名の通り秘境気分を味わえる祖谷渓温泉ホテル「秘境の湯」がおすすめです。祖谷渓の秘境らしい雰囲気に溶け込みながらも、内部は設備が整っており、快適な滞在をお楽しみいただけます。好評の温泉は、阿波の青石を敷き詰めて祖谷渓を見下ろす大浴場、野趣溢れる露天風呂でお楽しみください。
祖谷の大自然が育んだ川魚や山菜を味わえる郷土料理も美味です。