サンクト・ペテルブルクとは
ロシアの文化・芸術の中心地であり、市内中心部を運河が縦横に走る美しい街並みから「北のヴェネチア」とも称されているサンクト・ペテルブルク。首都モスクワに次ぐロシア連邦第2の都市です。かつてはロマノフ朝の都であり、ピョートル大帝によって街が建設されました。彼は西欧に比べて遅れていた自国の近代化を目指し、何万人もの犠牲を出しながらもこの町の建設を押し進め、ロシア近代化の窓口としてバルト海に開かれた港と要塞を築きました。豪華絢爛な建築物やヨーロッパとロシアの文化が融合した美しい街並みが広がっており、サンクト・ペテルブルク歴史地区と関連建造物群として世界遺産に登録されています。
ロシアでも類をみない美しい街、サンクト・ペテルブルクをお楽しみください。
サンクト・ペテルブルクまでのアクセス、行き方
サンクト・ペテルブルクはロシア北西部、バルト海東部のフィンランド湾に注ぐネヴァ川河口に位置しています。日本からは直行便は就航していないため、モスクワやその他ヨーロッパ各都市、中東で乗り継ぐ必要があります。飛行時間は航空会社と乗り継ぎ時間により異なりますが、約13時間~15時間のフライトです。サンクト・ペテルブルクの空の玄関口、プルコヴォ空港から市の中心部へは約17kmほど。空港から中心部までの主な交通手段は路線バス、タクシーです。
サンクト・ペテルブルクおすすめ観光3選
エルミタージュ美術館
エルミタージュ美術館は300万点以上の作品を所蔵する世界屈指の美術館です。
「エルミタージュ」とはフランス語で「隠れ家」を意味し、女帝エカテリーナ2世専用の美術品収集の館が起源です。1754年に女帝エリザベータが冬の宮殿として建てた冬宮を母体に、皇族の私的空間として増築された小エルミタージュ、エカテリーナ2世が自身のコレクションを集めた旧エルミタージュ、ニコライ1世の時代に増築された新エルミタージュから成っています。レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ティツィアーノ、カラヴァッジョ、レンブラント、ルーベンスなど名だたる画家の傑作を見ることができます。展示室は宮殿がそのまま利用されており、絵画だけでなく世界遺産にも登録された歴史的価値のある豪華な宮殿の装飾美術も必見です。
また、エルミタージュの至高のコレクション、黒海周辺にて活躍した世界最古の遊牧騎馬民族スキタイの古代黄金コレクションや世界各国の使節団からの献上品などが収められた黄金の間も見どころ。(※特別室である黄金の間への入場には別途予約が必要です。)
新館には印象派コレクションとして、モネ、マネ、セザンヌ、ゴーギャンなど馴染みのある西欧の画家たちの作品が展示されています。
血の上の救世主教会
カラフルな玉ねぎ型の屋根が印象的な血の上の救世主教会(正式名称:ハリストス復活大聖堂)。1881年、当時のロシア皇帝アレクサンドル2世がこの場所で爆弾テロに遭い、暗殺されるという悲劇が起こったことから血の上の救世主教会と名付けられました。皇帝の死を悼んだ息子のアレクサンドル3世により、25年もの歳月をかけて建てられました。内部は壁から天井までぎっしりと色鮮やかな宗教画が描かれています。
また、ネフスキー通りから教会まで500m程の運河沿いの道には、マトリョーシカやスカーフなどの観光客向けの土産物屋が立ち並んでおり、お買い物も楽しめます。
※このあたりは観光客を狙ったスリ・ひったくりが多いため注意が必要です。
マリインスキー劇場
ロシアといえばバレエやオペラが有名ですね。18世紀以降の欧化政策の中でフランスのロマンティック・バレエを継ぎ、現代クラシック・バレエと呼ばれる新しいバレエを発展させました。その後、バレエの中心都市となったサンクト・ペテルブルクには世界一の作家や踊り手が集まるようになりました。
マリインスキー劇場はもともとは1860年に建設された帝室劇場で、モスクワのボリショイ劇場と並ぶロシア最高峰のバレエ・オペラ劇場です。三大バレエといわれるチャイコフスキーの名作「眠れる森の美女」、「くるみ割り人形」、「白鳥の湖」はこの劇場で初めて披露されたことでも知られています。
現在はマリインスキー・バレエ、マリインスキー・オペラ、マリインスキー劇場管弦楽団がここを拠点に活動しています。ロシアが世界に誇る格式高いマリインスキー劇場で良質のバレエやオペラを鑑賞されてはいかがでしょうか。
サンクト・ペテルブルク近郊の見どころ
夏の宮殿(ペトロドヴォレツ)
サンクト・ペテルブルク中心から西へ約30kmの所、フィンランド湾に面したペトロドヴォレツという街に建てられたピョートル大帝の夏の離宮である、夏の宮殿(正式名称:ボリショイ宮殿)。1725年ピョートル大帝の時代に完成し、1917年まで皇帝一族が夏を過ごしました。見所は夏を涼しく過ごすために造られた広さ12haの庭園内にある大小あわせて150以上もの噴水です。噴水は高低差を利用し、ポンプを使わずに吹き上げる仕組みになっています。多くの噴水には、ピラミッドの噴水、アダムの噴水、フランスの噴水などと名前がつけられており、水が突然出てくるいたずらの噴水もあちらこちらにあります。
一番有名なものは、宮殿の正面にある階段状の大滝とその下にあるサムソンの泉です。午前11時ちょうどになると音楽とともに庭園中の噴水が一斉に放水される噴水ショーは圧巻です。※庭園の噴水の放水時期は例年5月下旬~10月初旬までです。
エカテリーナ宮殿
サンクト・ペテルブルク市内から南へ約25km、郊外の皇帝たちの避暑地、ツァールスコエ・セローに位置するエカテリーナ宮殿。1717年にエカテリーナ1世が建て、娘のエリザベータ帝の時代、1752~56年にかけてイタリア人建築家ラストレリの設計で改築されました。その後も世界的に有名な建築家を招き、何度か改修や増築が加えられ、バロック様式とネオクラシック様式を基調にさらにロシア文化が融合した現在の姿になりました。
ロシア帝国時代の富を象徴するかのような豪華なエカテリーナ宮殿の最大の見どころは、部屋の内面が琥珀でできた琥珀の間です。第二次大戦中にナチス・ドイツ軍に占領された際に持ち去られましたが、2003年に復元されました。
また、幾何学模様の美しい中庭も忘れてはなりません。中庭から臨むエカテリーナ宮殿の繊細で美しいロココ建築の外観は、水色を基調とした白と金のコントラストが印象的です。