リトアニアとは
バルト三国の一番南にあるリトアニア。国土面積は北海道の8割くらいで、バルト三国の中では最大の国土を持ちます。氷河によって削られてできたリトアニアの国土は平坦で起伏が少なく、丘陵がなだらかに続きます。高緯度にありながら大西洋気団の影響で気候は湿潤、森林や湖沼が多いのも特徴です。
国土の1/3が森林におおわれ、3千を超える湖があることから、リトアニアは「森と湖の国」とも言われます。国の中で一番の都会である首都ビリニュスも、街の中心から少し行けば緑豊かな森が広がる環境です。
ヨーロッパ全土がキリスト教化された12世紀、リトアニアは未だ自然精霊を信仰する異教の地でした。部族が割拠する辺境の地であったリトアニアを統一したミンダウカス大公のもと、13世紀にカトリックに改宗した後も、古来から人々の暮らしと共にあった自然崇拝の心は失われることなく、現在までリトアニア国民の中に息づいています。
リトアニアへのアクセス、行き方
現在、日本からリトアニアへの直行便はありません。日本とリトアニアに就航しているエアラインを使い、乗り継いで訪問します。一番最短距離で行くならば、フィンランド航空を使うのがお勧めです。日本からフィンランドのヘルシンキまで約10時間、ヘルシンキからリトアニアの首都ヴィリニュスまで約1時間半のフライトです。
その他にもLOTポーランド航空でワルシャワ乗り継ぎ、アエロフロート・ロシア航空でモスクワ乗り継ぎなどの方法があります。
リトアニアで出会いたい、ナチュラル雑貨
リトアニアの雑貨とは
リトアニアは民族的起源から、北東部のアウクシュタイティヤ地方、南部のズーキヤ地方、北西部のジャマイティヤ地方(またはサモギティア地方とも呼ばれます)、南部内陸部のスヴァルキア地方(またはスドヴィア地方とも呼ばれます)、バルト海沿岸のリトアニア・マイナー地方の5つの地方に区分されます。
それぞれの地方で住宅や生活環境も異なり、民俗学的に多様性に富んでいますが、豊かな自然を愛し、崇拝する姿勢は共通しています。そして、リトアニアには自然を尊重して共存する生活の中から生まれた雑貨が沢山あります。
リトアニアは大国に囲まれた国土故、他国の侵略や支配にさらされてきました。そのような歴史を潜り抜け、伝統工芸品や雑貨が失われることなく現在もしっかりと生活に息づいているのは、伝統工芸を大切に保管し、継承していくリトアニアの文化の賜物です。自然の素材を活かした素朴で愛らしい雑貨には、リトアニアの民族の苦難の歴史とその中でも民族のアイデンティティを守ってきた誇りが息づいています。
ソダス
ソダスはリトアニアで古くから作られているオーナメントです。リトアニアの主食である黒パンを作るライ麦の麦わらを用いて、複雑な幾何学立体に組み上げて作ります。同様のオーナメントはフィンランドやラトビアなど周辺諸国でも見られますが、リトアニアのソダスの特徴は、幾何学的な立体の他に、ライ麦で作った小鳥や天使などのオーナメントが付いているところです。
ソダス(Sodas)とはリトアニアの言葉で『庭』を意味し、悪いものを追い払い、家の繁栄を祈るための大切なお守りとして造られ、受け継がれてきました。リトアニアの家を訪れれば、必ず一つはあるといわれています。
リネン
人類史上最古の繊維であるといわれるリネン。原料となる亜麻の栽培は紀元前8000年頃、メソポタミア文明の舞台となったチグリス・ユーフラテス川流域に始まったと言われています。その後古代エジプトでも使用されるようになったリネンは、フェニキア人によりヨーロッパに伝わりました。以来、ヨーロッパ各地で現在に至るまで身近な繊維として愛用されています。リトアニアのリネンはリトアニアで栽培されるフラックス(亜麻)を原料に作られます。季節による寒暖差の大きいリトアニアの国土はフラックスの栽培に大変適した環境で、背丈高く成長します。繊維が長いリトアニア産のフラックスからは柔らかでで肌触りがよい、良質のリネンが造られます。リトアニアのリネンは丈夫で長持ちする上に、使い込むほどにふわりとした肌触りを増していきます。さらに汚れに強く吸水率抜群、通気の良さと保湿力を併せ持つ万能の生地でもあります。衣類やエプロンのように身に着けるものの他、寝具やカーテン、ソファーやクッションなど家具のファブリックとしても活躍するリトアニアリネン、日常使いできるお土産としてもお勧めです。
木製キッチンツール
豊かな森林に恵まれたリトアニアには、木や草などの素材を使った道具や雑貨がたくさんあります。美しい透かし彫りのコースター、手にフィットする柔らかなフォルムを描く木べら、置くだけでキッチンがオシャレになるカッティングボードなど、ただ飾るだけでなく実際に使えるキッチンツールは自分へのお土産に買って帰りたい逸品。そして、木の質感や手触りはもちろん、素材の持つ「香り」も活かすのがリトアニア流。埋め込まれた植物の茎やハーブの断面が印象的な模様を作り出す鍋敷きは、熱いお鍋やポットを置くとふわりと森の香りが漂い、心が癒されます。(取材協力:料理研究家・口尾麻美さん)