パフィンとは
パフィン(Puffin)とは、鳥綱チドリ目ウミスズメ科ツノメドリ属の鳥で、3種類に分類されます。アイスランドやグリーンランド、北部ヨーロッパで見かけるパフィンは、「ニシツノメドリ(Atlantic Puffin)」。ロシアのカムチャツカ半島、千島列島、アラスカの海岸線で見かけるパフィンは、「ツノメドリ(Horned Puffin)」。そして日本の北海道東部から千島列島、ロシアのカムチャツカ半島、アラスカからカリフォルニアの海岸で見かけるパフィンは、「エトピリカ(Tufted Puffin)」。
3種類のパフィンの中で、1番体長が大きいのはエトピリカで約44cm、続いてツノメドリが約38cm、ニシツノメドリが約30cm。3種類に共通するのは、その容姿で、ずんぐりした体型に、短い羽、黒と白のツートーンカラーの羽毛に鮮やかなオレンジまたは黄色のくちばしを有しています。羽毛の白黒カラーから修道士の姿を連想させられるとのことで学名は「Fratercula(小さな修道士)」というラテン語名がついています。白黒の地味な羽毛に対し、目元やくちばし、足ひれは鮮やかなオレンジ、黄色、赤色、そしてずんぐりした体形に、どこかとぼけた目元から「海のピエロ」とも呼ばれています。
北部ヨーロッパに生息するニシツノメドリ(Atlantic Puffin)
パフィンの一生は、ほとんどが海での生活になります。陸に戻るのは繁殖と子育てのためだけ。営巣場所にもよりますが、5月中旬から7月中旬または8月が陸に戻る時期になります。パフィンは、毎年同じパートナーと同じ営巣地で繁殖・子育ての期間だけ過ごします。パフィンの特徴のひとつである鮮やかなくちばしの色は、繁殖期に色が濃くなり、繁殖期を終えると色が鈍くなります。
とぼけ顔パフィンのすごいところ
海で獲る魚が餌になるため、海岸沿いや海に浮かぶ無人島が営巣地となり、木の上に営巣するのではなく、岩の隙間や地面に穴を掘り、巣をつくります。パフィンは、1年に1個の卵しか産みませんので、卵や雛を守ることは非常に重要であり、外敵や風雨などに対応した巣になっています。
海に潜ることに特化した身体は、羽が短く、泳ぎが得意。羽が短いので、ずんぐりした身体を浮かせるのに、羽ばたく回数は1分間で約400回とも!それでも、繁殖期を終え、越冬の際は、営巣地から約500kmも離れた場所まで移動します。
アイスランドで見るパフィン
全世界に生息するパフィン(ニシツノメドリ)の約半数以上が、5月中旬から8月にかけてアイスランドにやってきます。アイスランドのパフィンが営巣する場所は、数か所あり、有名な場所ではウェストマン諸島、ディラホラエイ、ウェストフィヨルド、そして首都レイキャビック近郊の島です。1番大きな営巣地はウェストマン諸島で、約70万組のつがいが繁殖のためにやってきます。アイスランドのパフィンを見たい場合、手軽に見に行けるのは首都レイキャビック近郊の島でしょう。約1時間半のクルーズで、パフィンが営巣する島の近くまで行きます。ただし、船から離れた島にいるパフィンを見ることになるので、写真を撮るには船揺れで難しいという点があります。ウェストマン諸島も同様で船から眺めることになります。ディラホラエイやウェストフィヨルドは、船ではなく、展望所から眺めることができます。
フェロー諸島で見るパフィン(デンマーク)
18の島々で構成されるフェロー諸島ではパフィン以外にも多くの鳥を見ることができ、様々な場所にバードウォチングポイントがあります。そのうちのひとつ、ミュキネス島は“野鳥の楽園”と呼ばれ、野鳥観測のためのトレイルが敷かれ、そのトレイル沿いで野鳥を見ることができます。このトレイルにある崖近くの展望所では、パフィンを間近で見ることができます。