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一生に一度は乗ってみたい!走破したい!シベリア鉄道の旅(ロシア)

2022 3/10
目次

シベリア鉄道とは

シベリア鉄道とは、東ヨーロッパから北アジア全体を占める世界最大国土を有するロシアの東西約9,259㎞(*一部経路が変更したことに伴い、走行距離数が短縮し、2001年6月から営業キロが変更になりました)を横断する世界最長の鉄道です。一般的に、「シベリア鉄道」というとモスクワ・ヤロスラヴスキー駅~ウラジオストク駅間を指します。シベリア鉄道路線上のウラン・ウデ駅から派生した支線で、モンゴルのウランバートル駅を経由して中国の北京駅に至るルートを「モンゴル縦貫鉄道」といいます。

シベリア鉄道の旅について

ウラジオストク~モスクワ・ヤロスラヴスキー間は、途中下車せず乗車し続けて向かう場合、車中6泊7日の旅になります。しかし、シベリア鉄道沿線は、魅力ある観光地を経由していくので、旅行日数に余裕があれば、途中駅で下車して観光、宿泊をしていくことをお勧めします。途中下車のメリットは、乗車日や乗車駅を変えることによって列車を乗り換えることになり、日ごとや区間ごとにさまざまな車両で運行されるシベリア鉄道の違う車両になればシベリア鉄道の旅を倍に楽しむことができるからです。

また、全線乗車ではなく、一部乗車ということもできますので、数時間の乗車、1泊2日などの短期のシベリア鉄道旅という選択もできます。日本から最短で車中一泊二日のシベリア鉄道の旅を楽しみたい場合は、ウラジオストクからハバロフスクまでの約12時間の行程がお勧め。ウラジオストクもハバロフスクも街観光が充実していますので、鉄道旅と都市観光も楽しめます。

シベリア鉄道の魅力的な途中駅 8選

ウラジオストク

鷲の巣展望台からの眺め(撮影:ユーラシア旅行社)

ロシアの沿海地方の州都。ウラジオストクとは「東を征する」の意から軍事要塞として発展した街。
ウラジオストク市内観光では、中央広場近くの市場を見学してみましょう。野菜、果物、チーズ、肉、魚など様々な食材が売られていますが、おすすめはハチの巣のついた蜂蜜やプロポリス、蜂が集めた花粉など、日本では高い値段で販売されていますが、ここだと手頃な値段で買うことができます。要塞の街らしさを感じたい場合は、要塞博物館、潜水艦C-56博物館などがおすすめ。鷲ノ巣展望台からは、街を一望でき、2012年に造られた黄金橋と金閣湾の絶景も見ることができます。

駅も必見!ウラジオストク駅
1909~1911年建造、1912年開業。入り口で手荷物検査をして建物に入ると、天井にはシベリア鉄道始発のモスクワと終点ウラジオストクの風景画が描かれています。起工式に出席したニコライ二世のレリーフも残っています。奥の部屋の壁上部にウラジオストクを築いたムラヴィヨフ・アムールスキーとピョートル三世が描かれています。
列車のホームには、シベリア鉄道のキロポストや大戦中にアメリカで製造されたSLも見ることができます。

ハバロフスク

スパソ・プレオブラデンスキー大聖堂(撮影:ユーラシア旅行社)

1649年、この地を訪れた探検家エロフェイ・ハバロフにちなんで名づけられた街。
駅前にハバロフの像が立っています。ハバロフスク市内には、シベリアの歴史と自然を学ぶことができる郷土博物館、スパソ・プレオブラデンスキー大聖堂、ウスペンスキー教会、ムラビョフ・アムールスキナー通り(街のメインストリート)を巡ってみましょう。時間があれば、アムール川(黒竜江)クルーズもお勧めです。

ハバロフスク駅を出発して8㎞ほどで、街の西側を流れるアムール川(黒竜江)に架かる二代目アムール鉄橋(長さ2,598m、高さ64ⅿ、1998年完成)を列車は走ります。二代目の橋は、上層部に自動車が走れる道路、下層部に鉄道が走る併用橋。初代の橋は1916年に二代目の横に架けられましたが、現在は大部分が解体され、一部岸側に橋脚が残っているのみ。

ピロビジャンエ駅:1928年スターリン時代、多くのユダヤ人が、この地に強制移住させられてきました。
オブルチエ駅:短めの停車時間があると、地元の人たちが自家製ピロシキなどを売りにやってきます。夏の時期には発泡スチロールに入ったアイスも売りに来ますので、ちょっとしたオヤツ購入に是非降りてみましょう。

時差発生 1時間戻ります(マイナス1時間

ペロゴルスクエ駅のミニ市場(撮影:ユーラシア旅行社)

アルハラ駅:ロシア全土で通用する「アルハラの人」というフレーズ。若くてイケメンでマッチョな男性を表す言葉です。
ブレヤ駅:1913年にノルウェーの極致探検家フリチョフ・ナンセンが訪れました。
ペロゴルスクエ駅:売店が駅舎沿いに多く、また駅舎をでてすぐ近くにミニ市場が開かれています。魚の燻製や野菜、果物、ハチミツやピロシキなど見るだけでも楽しめます。食料調達に多くの乗客が下車して、買い出しに走ります。
シマノフスカヤ駅:この町出身の鉄道関係で働いていたファデエフが、ソ連崩壊後、鉄道民営化に反対し、国に鉄道を民営化させないという法律を作らせました。
マロコヴァリ駅:ここから永久凍土のザヴァイカリスキー地域に入ります。地面を1.5mくらい掘ると凍った地層にあたります。この地方は、2012年まで舗装された道路も橋もない地域でした。人口密度も10㎢に0.25人!冬はマイナス40℃まで下がりますが、夏の時期は地表に緑が生い茂ります。
アマザル駅:駅に到着する手前でアルハラ川を見ます。川沿いには、小さな集落と牛の放牧。また、このあたりから遠く離れた場所に先住民オロチ族が、現在でも昔ながらの丸太小屋での生活をしています。
シルカ川:シルカ川は、オノン川、レナ川と繋がっています。レナ川はシベリアを流れる広大な川になります。
チェルヌイシェフスク・ザヴァイカリスキー駅:ロシア革命が始まる前に、反皇帝を唱え、この地に収容されたチェルヌイシェフスクの像がホームに見えます。彼の書いた書物(多くは収容中に自らの手で焼いてしまった)は、高校生の教科書にも載っているので、ロシアの人にとっては有名な人物です。
シルカ駅:このあたりから線路近くに森がみられなくなり、遠くの小山にぽつぽつと浮き出るような白樺が立つ様子が見られるようになります。森林が少ないこの地域では、木材はとても重要。枕木の交換の際、古いものをここに置いていくと、翌朝には枕木がなくなっているとか。
ペトロフスキー・ザヴォート駅:駅の近くに、1789年創業の製鉄所があります。駅のホームには、ロシア革命家デカブリスト8人のレリーフ(※1825年12月、専制と農奴制の廃止を求めて放棄したロシア革命家を、12月=デカーブリにちなんでデカブリストといいます)。デカブリストたちの蜂起は鎮圧され、捕まった革命家たちはここに流刑され、地下坑道の作業をさせられました。ここでザヴァイカリスキー地域が終わり、シベリア地域に入っていきます。

ペトロフスキー・ザヴォート駅にあるデカブリスト8人のレリーフ(撮影:ユーラシア旅行社)

時差発生 1時間戻ります(マイナス1時間)

ウラン・ウデ駅:ブリヤート共和国の首都ウラン・ウデ。北京駅からモンゴルのウランバートル駅を経由したモンゴル縦貫鉄道は、この駅でシベリア鉄道本線と合流し、モスクワへと向かいます。

ウラン・ウデ駅にある木彫りの熊ちゃん(撮影:ユーラシア旅行社)

イルクーツク

イルクーツク駅(撮影:ユーラシア旅行社)

バイカル湖観光の拠点となる街。イルクーツク市内からバイカル湖までは、車で約1時間15分。世界遺産に認定されているバイカル湖は、面積31,500㎢、南北約636km(東京~姫路間と同じ)、東西25~80㎞。世界淡水の約20%を占めています。
バイカル湖では、バイカル湖クルーズやバイカル湖博物館の観光、イルクーツク~バイカル湖の移動途中にあるシベリア木造建築博物館といった見どころがあります。

シベリア木造建築博物館
1989年にオープンした野外博物館。1959年アンガラダム建設に伴い、湖底に沈む村の中で価値のある木造建築物などを移築しました。16世紀開拓時代のコサック要塞やブリヤート人の木造ゲル、17世紀の民家にはペチカ(暖炉窯)の上が寝床になっていたり、ガラスが高価だったので窓が小さめに作られているなど見ごたえがあります。
バイカル湖博物館
環境研究センターの1階が、博物館になっていて、バイカル湖の成り立ちやバイカルアザラシの進化の過程、湖に生息する魚、動物、鳥の展示を見ることができます。最後にあるミニ水族館コーナーでは、湖に生息するオームリ、可愛いムチムチのバイカルアザラシを見ることができますよ。

イルクーツク市内には、市民の憩いの場所でもあるキーロフ広場、周囲には州庁舎、言語大学が建ち並んでいます。街の中心から少し離れた場所に130地区という古い木造家屋をおしゃれに改装したショップやカフェがある地域もオススメ。

クラスノヤルスク

クラスノヤルスク駅(撮影:ユーラシア旅行社)

東シベリアの中心都市。北極海に注ぐエニセイ川(全長4029km)のほとりに1628年から街の建設が開始、18世紀に発展しました。冷戦の時期には、連邦最大の軍需産業があったため、1971年に街から約30km離れたエニセイ川上流にクラスノヤルスク水力発電所が造られました。

マリインスク駅:ホームで売り子さんたちがスーパーのカートにたくさんの食料などを積んでやってきます。手作りピロシキ、魚のフライ、練乳クリーム(キャラメル)入りクレープ、ゆでジャガイモ、ペリメニ、松の実などなど。

スーパーのカートにたくさん食料を積んで売りに来ます(ユーラシア旅行社)

ノボシビルスク

西シベリア鉄道博物館(撮影:ユーラシア旅行社)

ノボシビルスクとは、ノボ=新しい、シビルスク=シベリアの意味から「新しいシベリアの街」。モスクワ、サンクトペテルブルクに次ぐ、第三の都市で、シベリア鉄道建設により誕生した街です。最初の街名は「ノボニコラエフスク(新しいニコライの街)」でしたが、ソ連成立後の1925年に現在の街名になりました。1931~1939年に造られた駅舎は、ロシアで最も大きな駅舎です。蒸気機関車の形をイメージし、建設作業の後半で流行した古典式を取り入れ、ローマ風に円柱が外側に施されました。

西シベリア鉄道博物館:1920年代に鉄道関係文化会館として造られた建物を、2004年に鉄道博物館に改装してオープン。鉄道建設により生まれたノボシビルスクの街と鉄道との歴史をわかりやすく展示。鉄道好きは必見!
国立オペラ・バレエ劇場:モスクワのボリショイ劇場よりも大きく、ロシア最大の劇場。1944年に完成し、翌年5月に初公演が催されました。
旧鉄橋:オビ川沿いに1897年完成・開通した、最初の単線鉄橋の一部が残されています。ノボシビルスクの街の始まりは、この鉄橋建設を開始した1893年ともいわれていますので、街の起源の象徴ともいえます。いまは、旧鉄橋橋の奥に新しい鉄橋が架けられ、新しい鉄橋に鉄道が走っています。
ノボシビルスク動物園:約700種類もの動物、鳥などを見ることができる、週末には家族連れの姿を多く見かける市民憩いの場所。もともと獣医さんが開業した動物園であるため、猫科の動物が多く、この動物園で注目はライガーでしょう。ライガーとは、ライオンの雄と虎の雌との間に生まれた子のこと。近年ではライガーの雌が雄ライオンとの間に子供を授かり、ライライガーが誕生しています。また、この動物園で生まれた雌の白熊が2015年に大阪・天王寺動物園に寄贈され、日本では「イッちゃん」と名付けられました。

ライオンの雄と虎の雌との間に生まれたライガー(撮影:ユーラシア旅行社)

アカデムゴロドク

アカデムゴロドク新総合大学(撮影:ユーラシア旅行社)

1957年に誕生した計画都市。研究機関・大学が集まる、日本の筑波が構想を得た街。ノボシビルスクから車で約1時間の場所にあります。

地質学博物館:シベリアをはじめ、ロシアの大地にはさまざまな鉱石が眠っています。金、銀、銅、ニッケル、水銀、ヒスイ、ラピスラズリ、果ては隕石まで展示。石油、石炭、ガスなどの採掘箇所や水力発電所の場所などがわかるソ連時代の研究員手製の地図など、勉強にもなり、見ごたえある博物館。
鉄道技術野外博物館:帝政ロシア時代の客車や救急医療車両、監獄車などが展示され、内部も見ることができます。隣にはクラシックカーも展示されていますので、鉄道好き、オールドカー好きも必見。

時差発生 1時間戻ります(マイナス1時間)

時差発生 1時間戻ります(マイナス1時間)

テュメニ駅:この辺りまでくると、近代的な駅舎になり、旅の終わりが近づいてきているのを感じさせられます。

テュメニ駅(撮影:ユーラシア旅行社)

エカテリンブルク

ウラル地方の中心都市エカテリンブルク。1721年に街が完成した当時の女帝エカテリーナ1世にちなんで名づけられました。エカテリンブルクは、ロシア初代大統領エリツィンの出身地でもあります。
また、ロマノフ王朝最後の皇帝ニコライ二世が初めてシベリア鉄道に乗車したのは、テュメニ駅から列車に乗せられ、到着したエカテリンブルクにて、家族とともに銃殺処刑されるときでした。ニコライ二世によってシベリア鉄道の工事が開始されましたが、彼の初めての乗車が彼にとって最後のシベリア鉄道乗車でもあったのです。エカテリンブルクの皇帝ニコライ二世と家族が銃殺された場所には、血の上の教会が2003年に建てられました。

オベリスク:エカテリンブルク駅を出発して30分後に、車窓(モスクワ進行方向)左側に線路寄りにちらっと見えるオベリスク。これはアジアとヨーロッパとの境を意味するために置かれた碑。この境とされているのが、ウラル山脈(南北約2500km、幅200~300km)です。鉄道は標高の低い場所を走るため、山脈越えを実感しません・・・。

カマ川:ウラル山脈を水源とするヴォルガ川の支流。

時差発生 2時間戻ります(マイナス2時間)・・・ここでモスクワ時間に!

ヴォルガ川:全長3,530ⅿ、「ロシアの母なる川」ともよばれるヨーロッパ最大級の川で約200の支流がある。
ニージニー・ノヴゴロド・モスコフスキー駅:ここまでくると、駅の改札が自動改札機になっています。ノヴゴロドは、1221年ウラジーミル大公によってクレムリン(要塞)が築かれた。

モスクワ・ヤロスラヴスキー駅

モスクワ・ヤロスラブリ駅(撮影:ユーラシア旅行社)

モスクワのヤロスラヴスキー駅は、赤の広場やクレムリンから北東にある駅。ウラジオストクから出発した場合、9,259kmの鉄道旅の終着点。列車ホームにはキロポストの碑が立ちます。シベリア鉄道を走破し、ウラジオストクと対になるキロポストを見るとなんともいえない感動と達成感が沸き上がります!

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