MENU

バロック光と影の巨匠カラヴァッジョの人生と作品を辿る旅(前編)

2021 9/03
目次

カラヴァッジョとは、カラヴァッジョを巡る

オッタヴィオ・レオーニによるカラヴァッジョの肖像画

本名はミケランジェロ・メリージ。1571年生まれ、1610年没。ルネサンスの栄華が色褪せ始めた時代に彗星のごとく現れ、明暗を駆使したキアロスクーロでドラマ性に富んだ作品を描き、バロック絵画の時代を切り拓いた画家です。イタリアのみならず、レンブラントやベラスケスなどバロックの時代を牽引して行く画家たちにも多大な影響を与えました。

バロック絵画の時代を切り拓いた巨匠カラヴァッジョの芸術と名声は現代においては確立されており、この記事ではその芸術性よりも作品を鑑賞する旅にご案内します。作品の写真も絵画そのものではなく、絵画の周囲も含めた形をできるだけ多く含めてご紹介しております。特にカラヴァッジョが約400年前に作品を飾った同じ場所にそのまま展示されている各礼拝堂の作品は、周囲の形や装飾、そして光とともにあってこそ、カラヴァッジョの目指した境地が見えてくるのかもしれません。

カラヴァッジョの原点、小さな町カラヴァッジョ

カラヴァッジョ駅(撮影:ユーラシア旅行社)

ミラノからローカル列車に揺られて約45分、東部の郊外に佇む小さな町カラヴァッジョ。カラヴァッジョが幼少期を過ごした町ですが、作品も家もありませんので、時間がある方向けの訪問地です。この町は中世聖母が現れて水が湧いたという奇跡で知られており、現在も聖母マリアの聖域聖堂が建っています。

聖母マリアの聖域聖堂(撮影:ユーラシア旅行社)

カラヴァッジョ修行の地ミラノ

究極の写実性「果物籠」アンブロジアーナ美術館所蔵

13歳に成長したカラヴァッジョは画業で生計を立てるべく、町カラヴァッジョを出て、ミラノに向かいました。ヴェネツィア派に影響を受けたペテルツァーノの工房に入り、絵画の基礎を学びました。ここでもカラヴァッジョ自身の明確な足跡は残っていませんが、ローマ時代に描かれた作品2点(ブレラ絵画館「エマオの晩餐」、アンブロジアーナ絵画館「果物籠」)をミラノで見学する事ができます。

「エマオの晩餐」ブレラ絵画館(C)MiguelHermoso(CC BY-SA 4.0)

カラヴァッジョの栄光と挫折の地ローマ~教会の作品を巡る~

成人したカラヴァッジョが目指した、都ローマ。ここでカラヴァッジョの芸術は大きく開花し、美術史にその名を刻みました。代表作である「聖マタイ伝」の三部作を始め、数多くの作品が今もこの街で巨匠の足跡を今日に伝えています。

サン・ルイージ・デイ・フランチェージ聖堂

左側から「聖マタイの召命」「聖マタイと天使」「聖マタイの殉教」(撮影:ユーラシア旅行社)

ナヴォーナ広場のすぐそばに位置するサン・ルイージ・デイ・フランチェージ聖堂は、カラヴァッジョファンならずとも一度は必ず訪れたい教会です。1600年、ローマに出て来てまだ無名に等しかったカラヴァッジョが入って左奥にあるコンタレッリ礼拝堂に聖マタイの作品を掲げると、瞬く間に評判を呼び、一躍時代の寵児に昇り詰めました。そして今現在もこの「聖マタイ伝」の三部作が同じ場所で世界中の人々を魅了し続けています。

左から「聖マタイの召命」「聖マタイと天使」(撮影:ユーラシア旅行社)
左から「聖マタイと天使」「聖マタイの殉教」(撮影:ユーラシア旅行社)

サンタゴスティーノ聖堂

「ロレートの聖母」(撮影:ユーラシア旅行社)

サン・ルイージ・デイ・フランチェージ聖堂やナヴォーナ広場からも近い一角に佇むサンタゴスティーノ聖堂には、カラヴァッジョの「ロレートの聖母」が当時から時が止まったままかのように、巡礼者達を見守っています。サン・ルイージ・デイ・フランチェージ聖堂よりも見学者が少ない為、作品をじっくりと眺める事が出来ます。

サンタ・マリア・デル・ポポロ教会

左「聖ペテロの磔刑」、右カラッチの「聖母被昇天」(撮影:ユーラシア旅行社)

ローマ北側のポポロ広場に位置するこの教会の入って左奥のチェラージ礼拝堂に、「聖パウロの回心」と「聖ペテロの磔刑」の二作品が飾られています。他の画家には排他的であったカラヴァッジョが唯一認めていた同時代のカラッチの作品と今も当時のまま並んでいます。

「聖パウロの回心」(撮影:ユーラシア旅行社)

カラヴァッジョの栄光と挫折が詰まったローマ~美術館の作品を巡る~

出世作「聖マタイ伝」で人気に火が付くと、カラヴァッジョの元にはカンバス画の依頼も数多く舞い込むようになりました。それらの作品の大半はパトロンの個人コレクションから美術館の展示品に替わり、観賞する事ができます。

ボルゲーゼ美術館

自画像でもある「病めるバッカス」(撮影:ユーラシア旅行社)

ローマ北東部、ボルゲーゼ公園の端に位置する美術館。美術愛好家であったボルゲーゼ枢機卿が収集した作品が核になっており、カラヴァッジョ6作品他ベルニーニ作品やルネサンスコレクションも充実しており、西のヴァチカンと並ぶ双璧です。
カラヴァッジョ作品は、「果物籠を持つ少年」「病めるバッカス」「ダヴィデとゴリアテ」「蛇の聖母」「洗礼者聖ヨハネ」「聖ヒエロニムス」を収蔵。

「ダヴィデとゴリアテ」(ゴリアテは自画像)(撮影:ユーラシア旅行社)

バルベリーニ宮国立古代美術館

「ホロフェルネスの首を斬るユディト」 (撮影:ユーラシア旅行社)

ボルゲーゼには劣るものの、充実したルネサンスからバロックのコレクションを持つ美術館。カラヴァッジョ作品は、「ナルキッソス」「ホロフェルネスの首を斬るユディト」「瞑想の聖フランチェスコ」

カピトリーノ美術館

左「洗礼者聖ヨハネ」 右「女占い師」(撮影:ユーラシア旅行社)

古代ローマの中心であったカピトリーノの丘に建つ美術館。場所柄充実している古代ローマコレクションは世界有数ですが、絵画館も見応えあります。カラヴァッジョ作品は、「女占い師」「洗礼者聖ヨハネ」を収蔵。

ドーリア・パンフィーリ美術館

左から 「悔悛するマグダラのマリア」「エジプト逃避途上の休息」「*洗礼者聖ヨハネ」

今も美術館と同名のドーリア・パンフィーリ一族が暮らす宮殿の一部を美術館として開放中。カラヴァッジョ作品は「エジプト逃避途上の休息」「悔悛するマグダラのマリア」「*洗礼者聖ヨハネ」を収蔵。*真贋論争有

ヴァチカン博物館

石が飛び出して来そうな「キリストの埋葬」(撮影:ユーラシア旅行社)

説明不要のヴァチカン絵画館ですが、カラヴァッジョ作品も代表作の一つ、突出した3D効果で知られる「キリストの埋葬」を収蔵しています。

カジノ・ボンコンパーニ・ルドヴィジ

「ユピテル・ネプトゥルヌス・プルート」(撮影:ユーラシア旅行社)

カラヴァッジョのパトロンであったデル・モンテ枢機卿が一時所有していた建物。カラヴァッジョ唯一の壁画「ユピテル・ネプトゥルヌス・プルート」が見られます。

マダマ宮殿

マダマ宮殿(撮影:ユーラシア旅行社)

カラヴァッジョの最初で最大のパトロンであったデル・モンテ枢機卿が住んでいた宮殿。カラヴァッジョ自身も住み込んでいました。サン・ルイージ・デイ・フランチェージ聖堂の隣。

カラヴァッジョ没後400周年(2010年)記念動画

イタリアの旅行・ツアーはこちら
バロック光と影の巨匠カラヴァッジョの人生と作品を辿る旅(後編)はこちら

目次
閉じる