タリンとは
バルト三国の一番北に位置するエストニア共和国の首都タリン。フィンランドの首都ヘルシンキまでは、クルーズ船タリンクシリヤラインで約2時間の距離。国連による分類でも北欧と同じく北ヨーロッパに属しています。かつてのハンザ同盟都市として繁栄し、タリン旧市街(歴史地区)が世界遺産に登録されています。まるでおとぎばなしに出てくるような中世の街並みを目にすると、タイムスリップしたような気分になります。屋台で売られるカラメルをまぶしたナッツ片手に、気ままに雑貨や工芸品のお店を覗いたり、おしゃれなデザインのショップ看板を撮影したり、カフェで一休みしたり…どっぷりと中世の世界に浸かりながら街歩きを楽しみましょう。
タリン旧市街のおすすめ観光スポット 6選
トームペアの丘
トームペアの丘に築かれた山の手エリアには、かつて貴族や権力者が住み、13世紀前半に建てられたトームペア城やエストニア最古の大聖堂があります。丘の上には、いくつかの展望台が設置されていますが、オススメはパットクリ展望台(Patkuli Vaateplatvorm)からの眺め。下町の北側、城壁越しに旧市街一の高さ124mを誇る聖オレフ教会の塔を臨むことができます。
アレクサンドルネフスキー聖堂
玉ねぎ屋根が特徴的なアレクサンドルネフスキー聖堂は、山の手エリアにあるロシア正教会です。長い年月ロシアやソ連の支配下にあったエストニアにとっては、その象徴として造られた負の遺産ともいえ、長く論争の種となっていました。歴史背景を知ると、ミサを知らせる重さ15トンもあるタリン最大の鐘の音も、より一層響いて感じられます。
ラエコヤ広場
下町エリアの中心となるラエコヤ広場。夏の週末には名産品を販売するマーケット、冬には2019年ヨーロッパのベストクリスマスマーケットに選ばれたタリンのクリスマスマーケットも、このラエコヤ広場で開催されています。
広場に面した旧市庁舎には、タリンのシンボル“トーマスおじいさん”が尖塔に置かれていますが、肉眼ではなかなか確認しづらいので、双眼鏡やカメラの望遠機能を使うと良いでしょう。また、広場から北東の路地に入るところには、ヨーロッパ最古とも言われる現役の市議会薬局があり、現代の薬や化粧品などのほか、中世時代から“失恋の治療薬”なるものも売られています。その正体や効果を知りたい方や傷心の方はぜひお試しあれ。
聖霊教会
ラエコヤ広場から北へ50mほどに位置する聖霊教会(14世紀)には、ストックホルム大聖堂にある彫刻「聖ゲオルギウスとドラゴン」(15世紀作)で有名なタリン出身の芸術家バーント・ノトケ(Bernt Notke)による主祭壇があります。ここを訪れたら聖霊降臨が表現された木製主祭壇は必見!
教会外側では、ピック通りから上を見上げると1684年に作られたタリン最初の公共大時計をみることができますので、お見逃しなく。
聖ニコラス教会
下町エリアの南西にある聖ニコラス教会。ここにも、芸術家バーント・ノトケ(Bernt Notke)による絵画「死のダンス」を見ることができます。疫病や戦争などが多かった中世時代、王であろうと貴族であろうと死は平等に襲い掛かることを表現した絵は、美しくも死の恐怖が伝わってきます。
城壁
旧市街を取り囲むようにして造られた城壁は、14~16世紀の間に増築を繰り返し、約2.5kmの長さのうち、現在は約1.9kmが残され、その一部を歩くことができます。城壁には20の塔が並び、博物館や展望台、カフェとして使われているところもあります。城壁ウォーキングでは、下町の南西にある塔「キーク・イン・デ・キョク」にある要塞博物館を見学し、階段に疲れてきたら続く「乙女の塔」にあるカフェで休憩しましょう。城壁の通路に設けられたカフェ席からデンマーク王の庭を眺めれば、歩き疲れた足だけではなく、心も癒やされること間違いなし。
タリン旧市街(歴史地区)は西に山の手、東に下町と2つのエリアに分かれています。街歩きには石畳の道や急な坂道を避けて通れませんので、履き慣れた歩きやすい靴がおすすめです。
タリンのおすすめレストランとカフェ 3選
オルデ・ハンザ
オルデ・ハンザは中世体験を楽しむことができる人気レストランです。700年前のレシピに基づいた料理の数々と中世の衣装を着た店員さんたちが迎えてくれます。アラカルトのメインは約13ユーロ~、コースは約35ユーロ~。
スリー・シスターズホテルのレストランSöe
少しお洒落な格好をして贅沢な気分も味わいたい場合は、日本の上皇・上皇后両陛下や英国のエリザベス女王がお泊まりになったスリー・シスターズホテル内のレストランSöeがオススメ。地元の食材を使用し、フレンチやスカンジナビア料理に影響を受けた料理を提供しています。コースは約47ユーロ~。
マイアスモック
1864年創業のタリン最古のカフェ。マイアスモックとは、“甘党”という意味。お昼からは、パスタやカツレツなどの食事メニューやアルコールも注文可。カフェに併設されたマジパン博物館ともいわれる工房では、マジパンやチョコレートなどが販売され、歴史を感じるマジパンでできた人形の展示を見ることができます。店名の通り、甘いひとときをお過ごし下さい。
番外編 歌の広場
タリン郊外、旧市街から北東に車で約15分の場所に、“歌の広場”があります。1918年にロシア帝国からの独立を果たすも、わずか20年でソ連に強制編入され、その後、約50年もの間、自由を奪われてきたバルト三国は、暴力に訴えることをせず、独立への想いを込めて『歌と踊りの祭典』を行い、自国民であるという誇りや伝統文化を受け継いできました。
現在もバルト三国の各国で開催されている『歌と踊りの祭典』は、2003年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。エストニアにおける祭典会場は“歌の広場”です。5年に1度の祭典では、全国から約3万人の歌い手が集い、広場は観客で埋め尽くされます。ロシアからの独立を信じ、禁じられていた母国語の歌や文化を繋いできた国民の強い想いが感じられ、心を揺さぶられる感動を体験することができます。