オルメカ文明とは?
紀元前16世紀頃から約1000年間に渡ってメキシコ中部のカリブ海沿岸地域で栄えた文明。宗教的な球戯や人間の体を故意に傷付けて放血する儀式など、古代マヤやアステカ等その後の中米の文明にも大きな影響を与えました。歴史が古過ぎる為にその遺構はあまり残っていませんが、オルメカ文明の中心地として栄えたラ・ベンタ遺跡公園ではその足跡に触れる事が出来ます。
ラ・ベンタ遺跡公園とは?
オルメカ文明は当初、現在のメキシコ中部ベラクルス州に位置するサン・ロレンソを中心に栄えていましたが、紀元前9世紀頃にサン・ロレンソの約100km東方、現在のタバスコ州に位置するラ・ベンタがオルメカの中心として台頭し、その後約500年に渡って繁栄を続けます。ラ・ベンタ遺跡は近代に入って周辺から石油が発見された為、発掘物の多くが遺跡から少し離れたタバスコ州都ビジャエルモッサ近郊に作られたラ・ベンタ遺跡公園に移されています。遺跡公園は中米最古の文明であるオルメカを物語る数少ない場所として、メキシコの旅でも是非訪れたい場所の一つです。
ラ・ベンタ遺跡公園への行き方、アクセス
ラ・ベンタ遺跡公園はメキシコ各地からフライトもあるタバスコ州の州都ビジャエルモッサに位置し、すぐアクセスできます。メキシコシティからビジャエルモッサへ飛び、古代マヤ文明の世界遺産パレンケ遺跡へ向かう途中に寄る事も可能です。
ラ・ベンタ遺跡公園のみどころ
オルメカの戦士像
オルメカの象徴とも言える巨石像。高さは2.4mにも及び、総重量は24トンです。戦士またはラ・ベンタの支配者の像と言われ、頭上の装飾も充実しています。分厚い唇と平たい鼻が特徴的です。紀元前10世紀から6世紀頃の間に造られたと考えられています。
オルメカの老戦士像
前述の戦士像とほぼ同時代に造られ、高さ約2m、総重量は20トンです。老いたようにも見える事から老戦士と呼ばれたりもしますが、確かな出自は不明です。
ジャガー人間の祭壇
オルメカの宗教では、ジャガーが雨を司る神として崇められていました。そして半獣半人のジャガー人間と呼ばれる神もまた信仰の対象になっていました。ジャガー人間は幼児の姿で現される事が多く、ここでも人間の女性に抱えられる姿で登場します。また、横のレリーフにもその姿を確認できます。
オルメカの捕虜の祭壇?
こちらは横に縄の文様があった事から戦争に勝利した記念として敵対相手を捕虜にしたモチーフとも言われていますが、真相ははっきりしていません。
グラン・マザーの像
ラ・ベンタでは、小型の全身座像も複数発見されています。この像も地位の高い貴婦人を描いた像ではないかと考えられています。
支配者の像
立派な頭上装飾やベルトなどから支配者と呼ばれる座像。オルメカ特有のへの字口をしています。
ジャガーのモザイク
石が並べられたこの装飾は地表にジャガーの顔を表わしていると言われています。上側の菱形が歯で真ん中に鼻、左右に目があります。現在は保存上の理由から博物館に移されています。
オルメカの墓
内部が墓所になっており、埋葬された幼児が発見されました。幼児の人身御供という説もありますが、はっきりした事は分かっておりません。