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天空の湖に浮かぶ伝統の船、チチカカ湖とトトラ(ペルー)

2022 3/10
目次

チチカカ湖とは

ウロス島とトトラ船(撮影:ユーラシア旅行社)

インカ帝国発祥の地という伝説が残るチチカカ湖は、世界中で20カ所ほどしか確認されていない古代湖のひとつに数えられています。この湖は標高3,812mに位置し、汽船が航行する世界最高所の湖。その面積は、琵琶湖の12倍もある約8500平方km、最深部283mという南米でも特に大きな湖で、そのうち60%がペルー領、40%がボリビア領です。チチカカ湖とその周辺には、インカ時代以前より先住民が暮らしてきました。現在もケチュア族やアイマラ族といった先住民族が住んでいます。また、ペルー側にはタキーレ島や、ウロス島(浮島)など様々な島が点在し、毎年世界各地から多くの観光客が訪れる人気の観光地となっています。

チチカカ湖への行き方は?

チチカカ湖のほとりの町プーノへは、バスまたは列車(ペルーレイル)で行くことができます。
バス移動の場合:プーノ行きのバスは、クスコとアレキパから毎日運行しています。クスコからプーノ行きのバスは、午前便・夜行便があり、直行バス(Cruz del Surなど)とツアーバスがあります。ツアーバス(インカ・エクスプレスなど)の場合は、途中の遺跡や街など観光スポットに立ち寄りながらプーノへ行くため約10時間ほどかかります。チケットはクスコのアルマス広場近くにある旅行会社かバスターミナルにて予約が出来ます。
列車移動の場合:クスコからPeru RailとOrient Expressの観光列車がプーノに向けて運行しています。Peru Railのサイトから予約可能です。

ペルーレイルウェイのチチカカ・トレイン(撮影:ユーラシア旅行社)

チチカカ湖のベストシーズンは?

雨が少なく、空気が澄み渡り、真っ青な空が見られる5~9月の乾季が観光におすすめ。ただし、乾季でも急に天気が崩れることもありますので、雨具は必要です。

プーノやチチカカ湖など標高が高く、乾燥した地域では、日が出ているか曇りかで気温が大きく変わります。また、一日の中でも気候の変動が激しい場所。そのため、Tシャツや薄手の長袖を基本に、トレーナー、セーター、ウィンドブレーカーなど重ね着の用意が必要です。また、朝晩2~3℃近くなり、冷え込みますので、フリースやダウンなど暖かい寝巻き、上着も持っていくとよいでしょう。

チチカカ湖のみどころ3選

ウロス島

チチカカ湖観光のハイライトと言っても過言ではないのが、チチカカ湖に浮かぶ人工の浮島であるウロス島。ウロスとはそこに暮らしている民族ウル族からきた名前です。浮島の数は約20島といわれ、島の一つ一つがトトラと呼ばれる葦を敷き詰めて作られています。ひとつの島には3~10家族が暮らしています。村では現在でも伝統的な方法で漁が行われており、湖に住む小型の魚(ペヘレイ)やマス、島の上に作った畑で農作業をして食料を確保しています。気候は乾燥していて寒い地域にあるのですが、湖上は蒸発した水蒸気が温度と湿度を適度に保つので、それほど過酷な環境ではありません。

色鮮やかな織物はいかが?(撮影:ユーラシア旅行社)

なぜ、このような島暮らしをしているのかというと、15世紀頃からインカのケチュア族やアイマラ族に攻め込まれた際、まず移住先としてチチカカ湖を選びました。そして、固定した島ではなく浮島の上に村を作れば、敵が襲ってきたときに湖上なので、容易に敵が村に近づけないこと、もし壊されても容易に作り直せること、また島ごと逃げられるようにと考えたからです。こうしたウロス島を作り上げたウル族ですが、純血のウル族は途絶えてしまい、現在はケチュア族やアイマラ族との混血の人たちがウロス島に暮らしています。

トトラ船

トトラ船(撮影:ユーラシア旅行社)

ウル族の人たちが、チチカカ湖の移動手段に島と同じ材料であるトトラ葦で作られた小船を利用します。昔から男性は船の操縦を、女性は船を編んで作るという役割分担がされてきました。

タキーレ島

タキーレ島は、浮島ではないのですが、現在でもインカ時代の生活様式を残す人口1500人ほどのケチュア民族が暮らす島です。平地がほとんどなく、島に到着するとすぐに長い階段が待ち構えています。船着場から頂上まで続く階段をのぼると、そこからは広大で穏やかなチチカカ湖と段々畑を見渡せます。 また、タキーレ島の人々の生活の中には織物が深く根ざし、老若男女を問わず日常的に編み物をしているのも特徴です。島の住人は、インカ時代の伝統が残る色彩豊かな民族衣装を着ていて、男女それぞれの衣装を作り合うのだそうです。タキーレ島はその景観と島に住む人々の織物の技術が評価され、世界無形文化遺産に登録されています。

チチカカ湖で気を付けたい高山病とは?

低地から、気圧が低く酸素量の少ない高地に上がった時、体が順応出来ずに起こる一連の症状を言います。具体的には、標高1500m以下の低地から、2500m以上の高地に一気に飛行機で移動した場合や、更にその高度から一日に高度差500m以上上昇した場合などに発症が見られます。しかしこの発症にはかなり個人差があり、その症状も様々です。
<症状>頭痛、倦怠感、発熱、下痢、せき、耳鳴り、動悸、食欲不振、就寝後の頻繁な覚醒や不眠など。更に重症化した場合には、高地肺水腫(肺に水が溜まる)などの症状にまで発展することもあります。

高山病の予防方法は?

高地到着後、なるべくゆっくりと行動し、大声を上げたり、走ったりしないようにしてください。高地着後すぐよりも、少し時間が経ったくらいの方が、症状が出やすくなりますのでご注意ください。普段より多めに水分を取り、エネルギーになる炭水化物を多めに摂取するのが有効。ただし食べ過ぎは、食べ物を消化するために胃が働きすぎ逆効果になりますのでご注意ください(脂肪分の多いチョコレートよりも、飴を舐める方が効果的です)。タバコ、アルコール類の飲酒、睡眠薬の服用は避け、バスタブに浸かっての入浴や熱いシャワーを浴びることは、心臓に大きな負担をかけることになりますので、控えましょう。

高山病の対処方法は?

酸素を補給することが第一に必要です。現地では、バスやホテルに酸素ボンベが備え付けられていることがほとんどです(酸素ボンベや酸素缶は、飛行機に乗せることができませんので、日本から持参することはできません)。
高山病の症状が軽度の場合は、積極的に水分をとり、寒気がしたら温かくし、無理をせず休息をとることが効果的です。
それでも回復せず、頭痛などが悪化しますと命の危険もありますので、すみやかに標高を下げるために低い場所へと移動しましょう。いっときの痛みを緩和させるための頭痛薬を使用することもひとつの手段ですが、高山病が身体に生じている原因となる血液の酸欠状態を放置せずに、薬で頭痛がなくなっても、絶対に酸素吸入はしましょう。

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