ラリベラとは
紀元前10世紀頃、シバの女王とイスラエル王国のソロモン王にまで遡る建国神話をもち、現存するアフリカ最古の独立国エチオピア。エチオピアといえば、裸足の五輪マラソンランナー「アベベ」や、お皿を唇にはめる風習をもつムルシ族など、個性豊かな民族のイメージが強いかもしれません。しかしながらエチオピアは4世紀頃からキリスト教を受容し、東西分裂以前に分派したエチオピア正教が今も信仰されている、敬虔なキリスト教の国でもあります。
ラリベラは12世紀頃に建設された都市であり、当時の王の名が冠されたエチオピア正教の聖地です。12世紀頃はイスラム教勢力が拡大していた時期であり、エルサレムへの巡礼が叶わなかったため、新たな自分たちのエルサレムを創ろうとしてできたのがラリベラです。一枚岩を掘って造られた「ラリベラの岩窟教会群」には今も多くの信徒の方々が巡礼にやってきます。
ラリベラへの行きかたは?
ラリベラはエチオピア北部に位置し、首都アディスアベバから飛行機で約1時間で到着します。
エチオピアにはダロール火山観光の拠点となるメケレやシバの女王伝説の残るアクスム、古都ゴンダール、青ナイルの源流バハルダールなどの観光地が点在していますが、
何れの観光地からでも飛行機で30分~1時間ほどで到着します。
現地のバスを利用し、陸路で移動することも可能ではありますが、最も近い観光地のバハルダールからでも6時間弱はかかり、治安の問題からもあまり現実的ではありません。
ラリベラ観光のおすすめ
聖ゲオルギウス(ジョージ)教会
高さ12m、奥行き12m、幅12mの十字架の形にくり抜かれた岩の教会。ラリベラの岩窟教会群の中では比較的後期に建設されたもので、他の岩窟教会とは少し離れた場所にあります。
10の岩窟教会を建設した後、ラリベラ王が夢の中で聖ゲオルギウス(ジョージ)からお告げを受けて建設したと言われています。ノアの箱舟がアララト山に漂着したシーンをモチーフにしたといわれ、教会自体がノアの箱舟を表しているのだとか。
岩窟教会群の中でも最も保存状態の良いものであり、ラリベラを象徴する教会です。
第一教会群
ラリベラで教会が連なっている二か所をそれぞれ第一教会群、第二教会群と呼んでいます。第一教会群は、ラリベラの北側に広がり、一枚岩の教会として世界最大と言われる聖救世主教会、ラリベラを築いた12世紀のラリベラ王が眠ると言われる聖ゴルゴダ教会がみどころです。
第二教会群
第二教会群は、ラリベラの東側に並ぶ5つの教会の総称。ラリベラ王とその前後の時代に建設された教会は、当初王宮や監獄説、世俗的な用途で用いられたという説もありますが、その後の時代から確実に宗教的に利用されるようになって今日に至っています。
ナクタラブ教会
ラリベラ王の甥、ナクタラブが建設したといわれる教会で、ラリベラ王が建設した教会群から南に離れたところにあります。山の中腹の洞窟のような部分を利用して作られた教会で、天井から滴り落ちる水が教会内のあちこちで受け止められ、聖水として利用されています。岩窟教会群からは少し離れていますが、車で15分くらいのところにある教会なのでこちらも一緒に訪れたいですね。
ラリベラの村
ラリベラには伝統的な家屋で暮らす人々もおり、円形の壁に円錐屋根の可愛らしいお家が所々で見かけられます。
エチオピアの伝統食とコーヒー
エチオピアを訪れた際には是非食べてみたい現地の味をご紹介します。
インジェラ
エチオピアで主食として食べられているインジェラ。イネ科の穀物テフを3日ほどかけて発酵させ、クレープのように焼いたもので、ワットと呼ばれる煮込み料理をおかずとして、一緒に食べます。独特な酸味があるので、好みが分かれやすい一品です。食事の際はインジェラの上に煮込み料理やサラダ等が盛られ、お皿の代わりにもなります。
コーヒーセレモニー
コーヒー原産国で有名なエチオピアの伝統的な習慣の一つが、コーヒーセレモニー。冠婚葬祭や来客の際に行われる、来賓への感謝とおもてなしの儀式です。コーヒー豆を煎るところから始め、3杯のコーヒーを飲むのが正式なコーヒーセレモニー。一般的に2時間ほどかけて行われます。コーヒーを作っている間はお香を焚き、来客者はおやつを食べながら待ちます。