ピラミッドはどこで見られる?
エジプトには120~138基のピラミッドがあるといわれ、なかでも「ギザの三大ピラミッド」は有名で、首都カイロから車で約1時間~2時間(※カイロは渋滞がすごいので、カイロの出発する場所によって移動時間が異なります。)の距離にあり日帰りで行くことができます。
三大ピラミッドの近くにはスフィンクスもあり、エジプトを象徴する名所を一度に見ることができるのが魅力です。しかし、もうすこし足を伸ばせばギザの三大ピラミッドとは異なる魅力をもつピラミッドがあります。
カイロ市内西側を流れるナイル川対岸にあるギザから、車で1時間半~2時間半ほど南下した場所にあるダハシュールとサッカラにあるピラミッドは、ギザのピラミッドより前の時代に造られたもので、旅行の日にちや時間に余裕があれば、足をのばして訪れたい場所です。
砂漠に佇むピラミッド ダハシュール
赤のピラミッド
カイロの南約40㎞に位置するダハシュール。ギザとは異なり、ダハシュールのピラミッド周辺は住居などの建物はなく、見渡す限り砂漠。ここにある赤のピラミッドは、古王朝時代・第4王朝の初代スネフル王によって建造されました。赤みを帯びた石灰岩を建築材に用いていることから「赤のピラミッド」とよばれ、ギザのピラミッド同様に真正ピラミッド(正四角錐)であるとともに、注目ポイントは、ここが現存する最古の真正ピラミッド(=正四角錐のピラミッド)であることです。
古代エジプトで最初に建造されたピラミッドは、サッカラにあるマスタバ墳という金の延べ棒のような形をした台形上の建造物を積み重ねた階段ピラミッドですが、その約半世紀のちの古王朝時代・第4王朝の初代スネフル王によりギザのピラミッド同様の正四角錐のピラミッドが誕生したのです。スネフル王は3つのピラミッドを建造しましたが、赤のピラミッドは2番目に建造したものです。1番目に建造したピラミッドは、現存していません。
屈折ピラミッド
屈折ピラミッドは、赤のピラミッドから南に約2kmの場所にあります。赤のピラミッド同様に、古王朝時代・第4王朝の初代スネフル王によって赤のピラミッドの次に建造されたのですが、正四角錐ではなく半分あたりの高さから角度が変わり、その形から「屈折ピラミッド」とよばれています。なぜ、途中から角度が変わったのかの理由は、いまだはっきりとは解明されていません。
屈折ピラミッドには、外装を滑らかにするために磨かれた上質な石材=化粧石が取り付けられ、それが大部分に残っているのがポイント。崩れた箇所と比較ができ、化粧石が剥がれた場所では石積みの様子がみられ、化粧石の残っている箇所では滑らかな斜面の外装であることがよくわかり、巨大建造物の外観にまでこだわりをもって建造していたことがよくわかります。
ピラミッドの原点! サッカラ
階段ピラミッド(ジェセル王のピラミッド)
ピラミッド以前の王墓や高官の墓は、金の延べ棒のような形をした地上建造物で「マスタバ墳」(マスタバ=アラビア語でベンチの意)というものでした。そのマスタバ墳を積み重ね、拡張していき、完成したのが階段ピラミッドです。この古代エジプト初の階段ピラミッドを建造したのは、古王国時代・第3王朝の初代ジェセル王。それまでは平屋だった墳墓を山のような形=ピラミッド形にし、それまでのマスタバ墳建造には日干し煉瓦を使用していましたが、石材に変えて建設したところも古代エジプト初の試みでした。
この階段ピラミッドの周辺には、セド祭(王位更新祭)の神殿や広場、葬祭殿、親族や高官のマスタバ墳があり、ピラミッド以外の施設があることからピラミッド・コンプレックス(ピラミッド複合施設)といわれます。
ウナス王のピラミッド
階段ピラミッド(ジェセル王のピラミッド)から南の墳墓を挟んだ先には、古王国時代・第5王朝最後のウナス王のピラミッドがあります。階段状でも四角錐でもなく崩れ、私たちがイメージするピラミッドの外観をしていません。しかし、このピラミッドでは内部が必見!死の国に旅立った王の再生・復活などに関する呪文や祈祷・葬祭文書を記したピラミッド内の壁一面に施された世界最古のピラミッド・テキストを見ることができます。
天井の星のレリーフ、ヒエログリフやカルトゥーシュが壁一面に刻まれている様は圧巻であり、芸術的です。
ギザの三大ピラミッド
現存する最古の真正ピラミッドである赤のピラミッドや屈折ピラミッドを建造した古王朝時代・第4王朝の初代スネフル王のあとに続いた第4王朝クフ王・カフラー王・メンカウラー王がそれぞれギザにピラミッドを建造。一か所に3人の王のピラミッド(+王妃のピラミッド)が並び、現在ではエジプトの一大観光地になっています。
クフ王のピラミッド
古王朝時代・第4王朝の初代スネフル王の息子クフ王が建造したピラミッドは、世界最大のピラミッド。高さ147mで目の前に立つと、その大きさに圧倒し、積み重ねられた石材の大きさに驚かされます。内部への入り口下に、化粧石が綺麗に残っている部分を見ることができます。このようにクフ王のピラミッドは外観をみるだけでも感動しますが、ここでは是非内部も見学してみましょう。
ピラミッド内部の通路は、幅の狭い通路で、身をかがめて進まなければならないところが大部分。手すりが備え付けられ、足場も歩きやすいように舗装されていますが、アップダウンが多いので、手荷物を軽く、小さめにしていくことをおすすめします。下降通路→上昇通路→大回廊(階段)→王の間でゴール。ここから来た道を戻ります。クフ王のピラミッドを訪れたら発掘隊や冒険家の気分を味わえるピラミッド内部潜入を体験して帰りたいですね。
カフラー王のピラミッド
カフラー王のピラミッドは、クフ王のピラミッドの南側にあります。高さ136.5m。他2つのピラミッドより石材が小さいのが特徴。上部に化粧石が残っています。
カフラー王はスフィンクスも建造しました。ピラミッドの東側にあるスフィンクスを正面から見ると、背後に建造主カフラー王のピラミッドを一緒に写すことができる写真ポイントがあります。このスフィンクス周辺には河岸神殿やマスタバ墳があり、ここもピラミッド・コンプレックス(複合施設)であることがわかります。スフィンクス神殿横の河岸神殿からは、閃緑岩のカフラー王坐像が発掘されています。
メンカウラー王のピラミッド
メンカウラー王は、カフラー王の息子であり,クフ王の孫。高さ66.5m。ギザの三大ピラミッドの中で建築規模が1番小さいのが特徴。ここもピラミッドの東に葬祭殿、河岸神殿が造られたピラミッド・コンプレックス(複合施設)です。河岸神殿からは、メンカウラー王と2女神像が発掘されています。