ナイル川の源流は?
アフリカ中部から北東部まで6,650mを流れるナイル川。下流部、エジプトのルクソールやアスワンを流れる姿はよく知られていますが、スーダン以南の中流から上流域はあまり知られていません。
ナイル川は青ナイルと白ナイルという主に二つの主流によって形成されています。青ナイルはエチオピアのタナ湖に源流を持ち、白ナイルはアフリカ中部のビクトリア湖に始まります。また、ビクトリア湖には複数の川が流れ込んでいる為、ナイル川の厳密な源流はビクトリア湖に流れ込む川のいずれかとされていますが、現在もルワンダやブルンジ等論争が続いています。
ナイル川の流域地図
青ナイルと白ナイルの合流点ハルツーム(スーダン)
ナイル川中流域の要所が青ナイルと白ナイルの合流地点です。エジプトの河口から約2,850kmに位置し、スーダンの首都ハルツームが建っています。青ナイルと白ナイルの名前の由来は、この地で合流するスーダン人がエチオピアから流れてくる川のより濃く暗い色を「青」と呼び、より透明度が高く泡立ちもあったビクトリア湖から来る方の川を「白」と呼んだ事に因んでいます。
青ナイルの源流タナ湖
青ナイルとタナ湖の概要
エチオピア北西部、海抜1800mの高原に位置するタナ湖はエチオピア最大の湖であり、青ナイルの水源です。季節によって表面積が変わりますが、琵琶湖のおおよそ4倍の広さです。雨季の6-9月は特に水量が増し、湖から流れ出す青ナイルの水量も急増します。タナ湖の周囲は肥沃な土壌が広がっており、その土壌を含んだ青ナイルの水が下流での氾濫を引き起こし、結果的にエジプトのナイル沿岸での農業を支える形になっていました。古代ギリシャのヘロドトスによる有名な「エジプトはナイルの賜物」という言葉も青ナイルが運ぶ肥沃な土から来ています。
青ナイル・タナ湖のみどころ、観光
タナ湖の周囲にはエチオピア正教の修道院群が建っており、クルーズを利用して訪れる事も可能です。セギ半島にあるウラ・キダネ・ミフレット教会では、藁葺き屋根の質素な外観からは想像もつかないような内部の鮮やかな壁画に驚かされるでしょう。
また、青ナイルの滝は下流まで流れる肥沃な土壌を含む青ナイルの起点に近く、特に雨季(6-9月)や乾季の始めの時期(10-11月)は、迫力ある滝の姿が見やすいです。
白ナイルの源流ビクトリア湖
白ナイルとビクトリア湖の概要
ウガンダ、ケニア、タンザニアの三ヶ国に囲まれたビクトリア湖はアフリカ最大の湖であり、その面積は68,800平方km(琵琶湖の約100倍)に及びます。周囲の産地から多くの川が流れ込みますが、流れ出る川は白ナイルの1本だけです。その流れ出る地点があるウガンダのジンジャはソース・オブ・ナイル(ナイルの源流)とも呼ばれていて、記念碑も立っています。
白ナイル・ビクトリア湖のみどころ、観光
白ナイルの源流ジンジャでは、前述の「ソース・オブ・ナイル」を見学する事ができます。また、白ナイルの最上流は急流になっていて、同じウガンダ内のマーチソン・フォールズ国立公園では、ナイル最大の滝でもあるマーチソン滝を上流側や下流側から望む事ができます。白ナイルは青ナイルほど季節的に水量が大きく変わりませんので、一年を通して訪れる事ができます。