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ベトナム、ホーチミン・コロニアル建築~東洋のパリ、建築の粋を感じよう~

2022 5/06
目次

ホーチミンとは

伝統と革新が入り混じる街並み(撮影:ユーラシア旅行社)

ベトナム社会主義共和国の南東部に位置する、同国最大の経済都市ホーチミン。その歴史は16世紀頃から始まり、元々クメール王国に属していましたが、北方からのベトナム人移民が定住するようになるとベトナムに併合されました。その後、1859年には本格的にフランスの植民地となり、ハノイ市と並ぶインドシナ連邦の中核都市として発展していきます。1975年まで存在したベトナム共和国(南ベトナム)の時代まで同国の首都として「サイゴン」と呼ばれ、ベトナム戦争終結後の南北統一をきっかけにホー・チ・ミン初代国家主席にちなんで「ホーチミン市」に改名されました。街中には19世紀後半〜20世紀前半のフランス統治時代の名残が残るコロニアル様式の建物が数多く残り、パリのような雰囲気を醸し出しています。

ホーチミンへのアクセス

日本からホーチミンへは、羽田または成田空港などから、ベトナム航空や全日空、日本航空の直行便がほぼ毎日あり、飛行時間はおよそ5時間30分~6時間ほど。日本との時差はマイナス2時間です。ホーチミンの空の玄関口、タン・ソン・ニャット国際空港は市の中心から北西約8kmにあり、市内まではタクシーやバスで20分程度で到着できます。
※最新の航空便スケジュールにつきましては、各航空会社サイトでご確認ください。

ホーチミンで訪れたいコロニアル様式の名建築5選

サイゴン中央郵便局

町のシンボリックな存在の中央郵便局

1891年に郵便・電信施設として完成した中央郵便局。設計はエッフェル塔で知られる、ギュスターヴ・エッフェルが手がけました。竣工時の外壁は濃い黄色でその後淡いピンク色に変わり、2015年に橙色に塗り替えられました。内部は駅舎を思わせるアーチ状のガラスの天井と広い空間が開放的で、駅舎だったパリのオルセー美術館をモデルにしたといわれています。壁には南ベトナムと周辺国の電信網が描かれた古地図があり、ホーチミンがフランス統治時代のベトナムと周辺国との重要な拠点であったことが伺えます。現在も郵便局として現役であり、ポストカード等も売られていて、旅の記念にここから日本にハガキを出してみるのもおすすめです。

駅舎の中のような雰囲気が印象的(撮影:ユーラシア旅行社)

サイゴン大教会(聖母マリア教会)

サイゴン大教会(撮影:ユーラシア旅行社)

中央郵便局に隣接する、1880年に完成した赤レンガ造りのネオゴシック様式、ホーチミンを代表するコロニアル建築の教会です。資材はすべてフランスから取り寄せて建てられました。フランス国家によって建設、管理されていたため、「国家教会」と呼ばれていたことも。1895年、教会はさらに2つの鐘楼を建設し、6つの大きな青銅の鐘が付けられました。双塔はそれぞれ高さが60メートルにも及びます。カトリック教徒が多いベトナムでは、日曜日のミサには多くの市民が祈りを捧げに集まる光景が見られ、同時に正面玄関のすぐ上にある、ベトナムで最も古いピアノの1つであるパイプオルガンの音色が響き渡ります。

ホテル・マジェスティックサイゴン

白亜の外観が美しい、ホテルマジェスティック・サイゴン(撮影:ユーラシア旅行社)

サイゴン川のほとりに建ち、ドンコイ通りの入り口に位置する白亜の外観が印象的な、ホテル・マジェスティックサイゴン。フランス統治時代の1925年、華僑実業家のフイ・ボン・ホアによって、当時のサイゴンでは数少ない近代的ヨーロッパ風ホテルとして開業しました。アール・ヌーヴォー風のデザインが施された6階建ての建物に、175室の客室とレストランが設けられています。窓や天井にちりばめられたステンドグラスや豪華なシャンデリアは、訪れた人をプチパリの世界にいざなってくれるよう。また、最上階にあるバーから眺める、夕陽に染まるサイゴン川の美しい景観も見逃せません。

ホテル・コンチネンタルサイゴン

ダウンタウンエリアの中心に建つホテル・コンチネンタルサイゴン(C)terence from Singapore (CC BY 2.0)

1880年に建てられ、ダウンタウンエリアの中心にあるこのホテルは、特徴的なタイル屋根や厚いレンガの壁がまさしく伝統的なコロニアルスタイルの様相を呈しています。客室は風と自然光を活用するための、高さ4メートルの天井を備え開放的な雰囲気を感じます。ホテルの中庭には1880年に植えられた3本のフランジパニの木がそびえ立ち、ユニークな空間を演出しています。ベトナム戦争時は「コンチネンタル・パレス」と改名され、特派員や報道関係者は1階のバーを「大陸棚」と名付けて親しんだそう。ホテルは戦火で一部損壊してしまい、1976年に一旦閉鎖されましたが、完全修復され1989年に現在の名称で再開されました。

ホーチミン市人民委員会庁舎

まるで宮殿のような、ホーチミン市人民委員会庁舎(撮影:ユーラシア旅行社)

グエンフエ通りの北西端に位置するホーチミン市の象徴として存在感を放つこの建物は、1898年に建築家ポール・ガルデスによって建設されました。宮殿のような美しい外観をはじめ、古代ローマをモチーフにした「帝政」を意味するアンピール様式の美しい装飾や彫像が特徴的で、まさにコロニアル様式の粋を集めたような仕上がりが見てとれます。もともとは市役所として建てられましたが、現在は政府機関である人民委員会の庁舎として使われています。そのため内部には入れませんが、正面広場にあるホー・チ・ミン像の前は、撮影スポットとして人気です。

ホーチミン周辺のおすすめ建築スポット

市民劇場

オペラ座「ガルニエ」がモデルとされる市民劇場(撮影:ユーラシア旅行社)

にぎやかなドンコイ通り沿いにある、オペラハウスとして建てられた壮麗なバロック様式のコロニアル建築。1897年にフランス人建築家ウジェーヌ・フェレにより、フランス・パリのオペラ座「ガルニエ」をモチーフに造られたと言われています。15~16世紀にかけて風靡したフランボワイヤン様式を用いた美しいファサードのレリーフなどは華やかすぎるという批判を浴び、1943年に装飾の一部が撤去されましたが、1998年にサイゴン創始300周年を記念して市が復元に取り組み、現在の姿になりました。 500席を有する劇場は、週末の夜には様々な演劇やミュージカル、コンサートなどが行われる市民の憩いの場となっています。

ホーチミン市美術博物館

独創的な装飾が印象的な美術館(C) Bùi Thụy Đào Nguyên(CC BY-SA 3.0)

19世紀末の資産家、フア・ボン・ホアの邸宅として1934年に完成したこの建物は、美しいステンドグラスや東洋を思わせる様式美、そして3階部分はアールデコ建築であるなど、中国とフランス両国の建築様式の影響を受けています。庭園を含む面積は4000㎡あり、窓の数は大小合わせて99枚に上るため、ホーチミン市でもっとも窓の多い住宅とも言われています。入り口正面には、市内最古である80年前の旧式の木製エレベーターが稼働しています。現在は美術館として、1階は現代アートなどのギャラリー、2階には絵画、3階には南ベトナムの先住民によるアンティーク彫刻や、伝統的な手工芸品等が展示されています。

統一会堂

.「ベトナムのホワイトパレス」と呼ばれる統一会堂(撮影:ユーラシア旅行社)

統一会堂は過去に2回再建されていて、現在の建物は1966年に南ベトナムの建築家ゴ・ベト・チューにより建てられました。南ベトナム政権時には大統領官邸として使用され、1975年4月に南ベトナム解放軍の戦車が統一会堂に突入したことにより、ベトナム戦争は終結。それにより、歴史の転換期を象徴する場所として世界的にも知られています。「ベトナムのホワイトパレス」と呼ばれる左右対称のシンプルかつ壮麗な建物は、コロニアル建築とは全く違う趣ですが、建築ファンならずともベトナムの近代史を知る上で、一度は必ず訪れてみたい場所のひとつです。一般公開されており、内閣会議室や応接室などの豪華絢爛な部屋から、極秘軍事基地として使われた司令官室や通信室、暗号解読室に至るまで、大小100以上の部屋を見学することができます。

ベンタイン市場

活気あふれるベンタイン市場(撮影:ユーラシア旅行社)

●【ホーチミン市内】おすすめの景観!「プチパリ」なタオディエンの街並み
中心街である1区からほど近く、サイゴン川を挟んだ対岸に位置する2区の中心部がタオディエン地区です。以前は交通手段が船しかなく開発が遅れた地域でしたが、2011年にトンネルが開通すると、外国人在住者や富裕層のベトナム人が住む高級住宅地へと変化していきました。フレンチコロニアル様式の影響を受けた屋敷やホテルなどが立ち並び「プチパリ」とも称されています。リゾート感あふれる雰囲気のレストランやスパなどがあり、カフェではローカルフードで人気なバインミーや、それに使用されるフランスパンのバゲットも売られているので、食べ歩きには事欠きません。

ご紹介した以外にも、ホーチミン市内にはフランス統治時代に建てられたフレンチコロニアル建築の建物が数多く残っています。街を移動される際には、ぜひ注目して見てみて下さい。

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