バガンとは
ミャンマー中央を流れるエーヤワディー(イラワジ)川中流域の東岸、約40㎢に広がる平野に大小様々な寺院やパゴダが建ち並ぶバガン。人口の約90%が仏教徒であるミャンマーにおいて、ここはまさに仏教の聖地。1044年にビルマ族による最初の統一王朝(バガン王朝)が築かれてからフビライ・ハーンの侵攻を受けるまでの約250年の間(11世紀~13世紀)に2000を超えるパゴダや寺院が建設されました。カンボジアのアンコール・ワット、インドネシアのボロブドゥールに並び、アジアの三大仏教遺跡に数えられており、また2019年には世界文化遺産に登録されています。
パゴダ(Pagoda)とは、ミャンマー語では「パヤー(Paya)」と言い、パゴダの内部に釈迦の遺物(髪や骨、歯) や経文などが納められている主に仏塔を意味します。
バガンの場所は?
バガンのおすすめ観光5選
シュエズィーゴォン・パゴダ
バガン王朝のアノーヤター王がモン族のタトォン国を征服した後、1059年にシュエズィーゴォン・パゴダの建設に着手したものの完成せず、息子のチャンスィッター王が引き継ぎ、30年かけ完成させました。金色に輝くパゴダは、三層ある階段ピラミッド状の基壇上に鐘型の覆鉢部があり、これがビルマ式パゴダの原型と言われています。
「シュエ」はビルマ語で“金”、「ズィーゴン」は“砂の河岸”もしくはパーリ語で“祝福された土地”を意味しています。伝説によれば、アノーヤター王が白い象を放ち、最初に止まったところが祝福された土地とされ、そこにパゴダが建設されることになったといわれています。最初はエーヤワディー(イラワジ)川の岸に建てられましたが、水害の為に現在の場所へ移されました。パゴダの中には仏陀の額骨と仏歯が納められていると言われています。このパゴダは、長い歴史はあるものの、それを感じさせないほどの金色の輝きを誇っています。それは、おおむね7年に1度金箔を張り替えているからです。歴史的な建造物はそのままの姿で保存すべきという考えもありますが、ミャンマーにとっては、住居が古くなったら修理をしたり、新しくしたりするのと同じ感覚で、多くのパゴダは定期的に修復・改築をして、美しい姿を維持しています。
シュエサンドーパゴタ
シュエサンドーパゴタとは、“黄金の整髪”という意味で、その名のとおりパゴタには、釈迦の聖髪が納められています。1057年の建立。ここではパゴタの上へあがることができますので、是非あがってみましょう。パゴダの上に行き、周りを見渡すと広大なバガンに点在するパゴタ、パゴタ、パゴタという絶景パノラマを見ることができます。パゴタ隣の建物には、足を揃えて右手で頭を支えて横たわる涅槃仏も見ることができます。
ティーロミンロ寺院
ティーロミンロとは、“傘の王”という意味。寺院の名前の由来は、年老いた王様が、息子5人のなかから次の王を決める際に、王権のシンボルとなる傘を息子たちの前に立て、倒れた先にいた者を次の王にすると言いました。結果、5人兄弟の末弟に傘が倒れ、即位した末弟は、バガン王朝8代目ナダウンミャー王となり、その記念として1211年に建立した寺院であることからティーロミンロと名付けられました。砂岩とレンガで造られ、バガンで最も大きな寺院のひとつです。
アーナンダ寺院
1091年に建立されたバガンにおける初期寺院建築の最高傑作として必見の寺院。寺院の東西南北に配された4体の仏像は、過去四仏といわれ、東:拘那含仏、西:釈迦牟尼仏、南:迦葉仏、北:拘留孫仏です。火事で焼け落ちるなどで修復などをおこなっているので、創建当時から残っているのは南北のみ。いずれも高さ10mの仏像で、目前にすると、そのお姿に圧倒されます。
内部の二重回廊では、くぼみに釈迦の生涯を刻んだレリーフや、王宮内部の様子や風俗などがわかる12世紀の美しいフレスコ画が残っています。
過去四仏のうち二仏様のお顔に注目!
ポイントは、仏様のお顔を見る距離。遠くから見ると微笑みをたたえる優しい顔に見え、近づくにつれて厳しく真面目な顔へと変化します。昔は王様や王族など、一部の上流階級の人しか仏像に近づくことができませんでした。そこで、「市民のための政治をしなさい」と戒めるために近くでみると厳しく真面目な顔。そして市民には「仏様が見守っていますよ」という意味を込め、安心してもらえるように遠目からは微笑んでみえるのです。
絶対見逃したくないバガンの夕陽(サンセット)
バガンが最も美しく見えるときは、やはり夕陽(サンセット)でしょう。丘の上や登れるパゴタの上が、夕陽観賞ポイント。無数のパゴダや寺院をシルエットにして沈む夕陽は非常に幻想的で、旅の思い出として心に刻まれるシーンになること間違いなし。
ミャンマー観光のポイント・注意点
八曜日
八曜日とは、ミャンマーに古くから伝わる占星術の一つ。日本では生まれた年や日を重要視しますが、ミャンマーでは生まれた曜日を大切にしています。西暦の七曜日制と違い、水曜日だけ午前と午後に分けられている為、八つの曜日が存在します。各曜日に星、方角、守護動物が割り当てられており、血液型占いのように生まれた曜日によって、基本的な性格や他人との相性も決まってくると考えられています。ミャンマーにある大半のパゴダにはそれぞれの方角に各曜日の祭壇が建てられている為、訪問する際は予めご自分の誕生曜日を調べておいて各曜日の祭壇にお参りすることをお勧めします。
服装
半ズボンやタンクトップといった肌の露出が過度な服装では、入場できない寺院があります。その他の場所でも、露出した服装での見学は宗教上好ましくなく、入場を断られる可能性がありますので、ミャンマー滞在中は長ズボンや膝が隠れる長いスカートを着用するようにしましょう。また、パゴダや寺院の境内では屋内外問わず、基本的に裸足での観光となり、靴・靴下・ストッキングは必ず脱がなければなりません。その為、脱ぎ履きしやすいサンダルを利用することがお勧め。脱いだサンダルを間違えて他の人に履かれていかれないように、サンダルを入れる袋も持参しておくと安心です。