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天空の宮殿と天女の微笑み、幻の古代都市シギリヤとシギリヤロック(スリランカ)

2022 3/18
目次

古代都市シギリヤとは

シギリヤ・ロック

インドの南東、インド洋に浮かぶ小さな、しずく型の島、スリランカ。その心臓部に、見る者を虜にする古代遺跡があります。一面緑のジャングルの中に突如にょきっと空に突き出す岩山シギリヤ・ロックが見えてきたら…その場所が古代都市シギリヤです。
上から見下ろしても下から見上げても息をのむ絶景と、謎が謎を呼ぶミステリアスな古代都市。興味は尽きることがありません。

シギリヤへの行き方、アクセス

日本からは直行便で約10時間、スリランカの玄関口であるコロンボから車で約4時間、約200km北西に走った場所にあります。シギリヤが位置する文化三角地帯は、スリランカの歴史上重要な史跡や世界遺産の宝庫。シギリヤに宿泊して、近郊の世界遺産群を効率よく訪れると良いでしょう。
※航空機の運航スケジュールは、各航空会社のホームページをご確認下さい。

📝【文化三角地帯とは
アヌラーダプラ、ポロンナルワ、キャンディの三都市を結んだ三角形の内側のエリア。こちらの三都市は全て世界遺産に登録されています。

・聖地アヌラーダプラ
スリランカは紀元前3世紀に仏教がインドから伝えられた最初の国で、スリランカ最古の都が置かれたアヌラーダプラは仏教都市として発展。ブッダガヤから分枝された菩提樹がある聖地で、巡礼者が絶えません。

・古都ポロンナルワ
10~12世紀にシンハラ朝の都が置かれました。岩肌に彫られた巨大な石仏や精緻なムーンストーンなどが残り、保存状態が良いのが特徴です。

・現代の聖地キャンディ
19世紀、イギリスに植民地化されるまでの300年間、シンハラ王朝の都でした。仏歯を祀る仏歯寺では、今なお一日に3度、荘厳な礼拝(プージャー)が行われ、仏教国スリランカで一番の聖地となっています。毎年夏に行われるペラヘラ祭りでは、百頭もの象が町を練り歩き壮観です。

シギリヤの歴史

5世紀後半、父王を殺してシンハラ王朝の王の座を奪い取ったカーシャパ。しかし、異母弟モッガラーナの復讐に怯え、巨大な一枚岩の上に7年の歳月をかけて難攻不落の王宮を建造しました。この空中宮殿と麓の庭園の複合遺跡が古代都市シギリヤです。

カーシャパの野望は儚く打ち砕かれ、数年後モッガラーナに攻め落とされます。わずか11年で王のいなくなったシギリヤは、その後数世紀の間、僧院として使われた後、長らく忘れ去られてしまいます。英国植民地下の19世紀後半、千年の歳月を経て一人のイギリス人により再び世界にその名が知らしめられることになります。1982年には世界文化遺産に登録されました。

シギリヤの見どころ

水利技術の粋、水の庭園

水の庭園(撮影:ユーラシア旅行社)

シギリヤ・ロックの西側の麓には、王宮と庭園が置かれていました。灌漑農業に頼るスリランカでは、古代から無数のため池が作られ水利技術が発達していましたが、なかでもシギリヤは随一。山頂に溜まった雨水が岩肌の溝を伝って地上まで滴り落ち、庭園から再び湧き出す仕掛け、地下水路で繋がる池や濠、ため池、高低差や風力を利用した噴水など、芸術性と実用性を兼ね備えた、当時の南アジアでも屈指の水利システムを誇りました。

水の庭園とシギリヤ・ロック(撮影:ユーラシア旅行社)
水の庭園の傾きの謎

【水の庭園の謎】
水の庭園は、東西の通路を軸にして南北がシンメトリーな造りとなっています。よく見るとこの軸は東西にまっすぐではなく、西側が9度北に傾いています。
スリランカは赤道と北回帰線の間に位置していますが、赤道と南北回帰線の間だけで見られる天体現象に「天頂通過」というものがあります。太陽が正午、ほぼ90度真上から差すため、影が東西南北どの方向にもできないという日が年に2回訪れるのです。水の庭園の軸はこの天頂通過の日の日没の方向に一致する、つまり天頂通過を古代人も知っていて、宗教上、何らかの重要な意味があったのではとする仮説があります。

天女の微笑み、シギリヤ・レディ

シギリヤ・レディ(撮影:ユーラシア旅行社)

シギリヤ・ロックの階段を約400段登ると、螺旋階段が見えてきます。この先で、人々を魅了してやまない18体の天女と女性の壁画が待ち受けています。生き生きとした仕種で優しく微笑む女性たちは、何度見ても見飽きることはありません。1,500年以上遥か昔に描かれたとは思えない、色鮮やかで軽やかなタッチに驚愕するばかりです。壁画群の下方には、鏡のように磨き上げられた、ミラーウォールと呼ばれる回廊が伸びています。

聖なる山、ピドゥランガラ(撮影:ユーラシア旅行社)

【シギリヤ・レディの謎】
200メートルもの岩山の断崖絶壁にどうやってこのような芸術性の高い壁画を、描くことができたのでしょう?しかも当初、女性像は500体はあったと言われています。絵師は一体何人いて、図案はどのようにして?それだけでも謎は深まります。
さらに一説によれば、女性たちの多くは左側を見たり指し示していたり…。それは左の方角、北方に聳える、シギリヤと似通った岩山で聖なる山、ピドゥランガラと関連性があるのではとも言われています。

ライオン・テラスと空中宮殿

敵の接近時にカーシャパ王たちが避難したのが、高さ200メートルの岩山の頂に建造した空中宮殿。

ライオン像の前足の爪先(撮影:ユーラシア旅行社)

入口にはシンハラ王朝のシンボル、ライオン像が置かれ、宮殿はその喉元を通り抜けた先にあったそうです。現存するのは、前足の爪先部分のみですが、もしライオン像が完全な姿で残っていたとしたら、その巨大さと迫力はどれほどだったか驚くばかりです。

上から見たライオン・テラス(撮影:ユーラシア旅行社)

ちなみにシギリヤという地名は、ライオンを指すシンハと岩山を意味するギリの組み合わせから来ていると言われています。

シギリヤ・ロック頂上からの絶景(撮影:ユーラシア旅行社)

急な階段を上り切った頂きには、鬱蒼としたジャングルを見下ろす360度のパノラマが広がり、その爽快感は格別です。

王のプール(撮影:ユーラシア旅行社)

宮殿跡には、住居跡の他、雨期には今もなみなみと水を湛える王のプールがあります。

シギリヤ・ロックを上る、訪問時のお役立ち情報

服装や持ち物

動きやすい装備で挑みましょう。(撮影:ユーラシア旅行社)

シギリヤ・ロックの頂上までは1,200段程の階段を上るため、履き慣れた靴と動きやすい服装が必須です。じっくり見て回るなら、3時間程度かかるので、水筒などもお忘れなく。急な階段や足場の悪い箇所もあるので、両手が空くよう荷物は少な目に。尚、ルートは一本道で、登り口と降り口は別になっています。

象の孤児院にて(撮影:ユーラシア旅行社)

シギリヤはスリランカにおけるサステイナブルな観光地の先駆けとして、脱プラスチックの取り組みを進めています。そのため、プラスチックゴミを出さない等の配慮が求められます。

【究極のエコ、象のウンチの再生紙】
コロンボからシギリヤへの途上、少し脇へ入ったピンナウェラには親を亡くした仔象たちを保護する「象の孤児院」があります。ここでは究極のエコ、なんと象のウンチから再生紙が作られています。脱プラが叫ばれる昨今、象のウンチから紙皿や紙ストローが作られるなんて日もそう遠くない将来に来るのかも?!

写真撮影

現在、シギリヤ・レディの撮影は壁画保護のため全面禁止です。その可憐さは目にじっくりと焼き付けましょう。チケットオフィス脇のシギリヤ博物館にレプリカがあり、こちらは撮影可能です。お手洗いも利用できるので、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

スズメバチにご注意を

ライオン・テラス付近にはススメバチの巣があり、まれに人を襲うことがあります。遭遇した際には、設置されている避難所に逃げ込むなど対処が必要です。

おすすめの時間帯

スリランカは低緯度で赤道に近く、まさに南国です。気温が高くなる前、午前中の訪問がおすすめです。

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