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聖なる川・ガンジス川の沐浴、宗教的意義と精神(インド)

2023 5/15
目次

ガンジス川とは?

バラナシ・ガンジス川(撮影:ユーラシア旅行社)

ガンジス川とは、ヒマラヤ山脈の氷河から始まり、中国の一部、インド、ネパール、バングラデシュを流れ、バングラデシュのデルタ地帯でベンガル湾に注ぐ全長約2500kmの川です。ガンジス川は、農業や漁業などの重要な産業や文化、経済にとっても重要な役割を果たしているだけではなく、ヒンドゥー教徒にとっては聖なる川の1つです。

聖なるガンジス川で沐浴、その宗教的意義とは?

バラナシ・サドゥーの祈り(撮影:ユーラシア旅行社)

ヒンドゥー教では、ガンジス川は女神ガンガーの化身とされ、彼女が地上に現れ、人々を浄化し、罪や悪を洗い流すために流れているとされています。諸説ありますが、ヒンドゥー教の3柱の最高神(ブラフマー神、ヴィシュヌ神、シヴァ神)にもそれぞれガンジス川と関係のある以下のような伝承が残され、ガンジス川の重要さがよくわかります。

まず、ガンジス川はブラフマー神によって、人々を浄化し、救うことを目的として天界から地上へと降り注いだと伝えられています。そして、ガンジス川が天界から地上に降り注ぐ途中に、ヴィシュヌ神の足に当たるところを通り、足を清めました。その時、ヴィシュヌ神は、ガンジス川を非常に清らかな川として賞賛し、その水を飲むことで、悪から身を清めることができると伝え広めました。

シヴァ神は、地上に降り注ぐガンジス川の流れを彼の頭を傾け、髪を広げて、受け止め、川の強大な流れによる地上の破壊を防ぎ、ガンジス川が彼の髪の中を通って地上に降り注ぐことで、地上に豊かな水源をもたらしたと伝えられています。

シヴァ神(C)Antoine Taveneaux(CC BY-SA 3.0)

この伝承から、シヴァ神が描かれる際、頭頂部からガンジス川が流れ出ているように描かれることも多いです。

ガンジス川で沐浴する3つの意味

バラナシ・ガンジス川の沐浴(撮影:ユーラシア旅行社)

ガンジス川で沐浴することは、ヒンドゥー教徒にとって非常に重要な宗教的意義をもちます。主な3つの意味を以下にご紹介します。

1罪を浄化する

その水は聖なる力があると信じられ、ガンジス川で沐浴することで、人々は自分の罪を洗い清め、霊的な浄化を受けると考えられています。

2病気を癒す

ガンジス川の水は浄化作用がある以外にも、ミネラルや微量元素が豊富であるとされており、健康に良いと考えられています。ガンジス川で沐浴することで、身体的な病気や不調を癒す効果があると信じられています。
注:実際にはガンジス川に生息する細菌等に免疫力がない場合、水に入ると1週間程寝込むとも言われていますのでお気をつけください!

3冥福を祈る・先祖を祀る

ガンジス川の水は、冥界にいる祖先の霊魂に幸福を与えることができると考えられています。ヒンドゥー教では、冥界は苦しみや不快感に満ちた場所とされており、魂が浄化されるまでには長い時間がかかるとされていますが、死者の魂を浄化し、死者の魂が輪廻転生の過程をスムーズに進むことを助けるとも考えられています。

ガンジス川沿いの聖地3選

ハリドワール

ハリドワール・ハリキパイリーガート(撮影:ユーラシア旅行社)

ハリドワールはインド北部ウッタラーカンド州にある聖都で、ガンジス川が山岳地帯を離れて平野地帯に流れ出す場所に位置し、その名前は「神々の門」という意味を持ちます。

ヒンドゥー教の聖典によれば、ここで行われた儀式によって、神々が不死の霊薬アムリタを手に入れたとされています。また、仏教の聖典にも登場し、釈迦がこの地で説法を行ったとされています。

ハリドワールは、ガンジス川が山岳地帯を離れ、平野地帯に入る場所であることから、ヒンドゥー教徒にとっては浄化の場所として非常に重要な聖地とされています。ガンジス川の水を浴びることで罪を清め、新たな生を迎えることができると信じられています。また、ガンジス川の水を持ち帰ることも、非常に功徳があるとされています。

リシュケシュ

リシュケシュ・夕刻の礼拝(撮影:ユーラシア旅行社)

リシュケシュは、インド北部ウッタラーカンド州にある聖都で、ヒマラヤ山脈の麓に位置し、「賢者の髪の毛」という意味を持つシヴァ神の髪の毛が落ちた場所とされています。この地は、古代インドの聖典であるヴェーダにも地名が登場し、多くの聖人や修行僧たちが修行に励んだことでも知られています。

リシュケシュは、シヴァ神の聖地とされ、多くの寺院や聖なる場所があり、川辺には多くの聖者たちが修行に励んでいる姿が見られます。2月、3月にあるマハーシヴァラトリというお祭りが有名で、数千人が訪れ、シヴァ神に献身するために、24時間続けて祈りを捧げます。

バラナシ

バラナシ(撮影:ユーラシア旅行社)

バラナシはインド北部ウッタル・プラデーシュ州に位置するインドの伝統文化、哲学、芸術の中心地で、ヒンドゥー教、ジャイナ教、仏教の聖地としても知られています。また、死者を送り出すための儀式や、浄化のための沐浴が行われることから「死者の都」とも呼ばれます。

バラナシの特徴は、入り組んだ路地でできた旧市街とガンジス川に面した水辺の階段であるガートです。ガートの中には火葬場もあります。火葬場では、死者の遺体をガンジス川に浸してから、岸壁に乗せられた薪の上で火葬が行われます。この儀式によって、死者の魂が解放され、輪廻から抜け出して、悟りを得ることができると信じられています。また、例外として赤ちゃんや子供、妊婦、事故死や疫病で亡くなった人、自殺した人など、十分に人生を生きていないとされる場合は火葬されず、そのままガンジス川へ遺体を流す水葬が行われます。

多くのサドゥー(修行僧)たちが瞑想やヨガを行っている姿が見られ、ヒンドゥー教の世界観を肌で感じることができます。

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