グダニスクとは
ポーランドの北に位置するグダニスクは、モトワヴァ運河に面する港町です。ポーランドはじめ様々なヨーロッパの建築様式がミックスされた建物が建っており、他のポーランドの都市とは少し違う独特な街の雰囲気が流れています。かつてはハンザ都市として様々な国との貿易の拠点として栄えたグダニスクは美しい街並みとは反して波乱万丈な歴史を歩んできました。第2次世界大戦開戦の地の一つになり、戦火によって街が壊滅状態になってしまいます。現在ある中世の雰囲気を感じさせる建物は戦後、市民たちの手によって復元されたもの。また戦後ポーランド民主化運動の拠点の地にもなった場所です。
劇的な歴史の変化の中でも強く生きてきたグダニスクの街。街の歴史を是非足を運んで確かめてみてください。
グダニスクへの行き方、アクセス
日本からの直行便はございません。空路の場合、LOTポーランド航空を利用すると、ワルシャワで乗り継ぎグダニスクへ向かうことができます。
※現在運航スケジュールが変更されている可能性があるため、詳細は各航空会社のホームページをご確認ください。
グダニスクの見どころ8選
旧市街
かつてはポーランドなど様々な政権の支配を受け、激動の歴史を刻んできたグダニスク。貿易都市として繁栄と衰退の両方を経験してきました。旧市街は残念ながら第二次世界大戦によって大半が破壊され、ほぼ廃墟と化してしまいました。しかし戦後グダニスク市民たちによって、見事に復元され、現在ではポーランドを代表する美しい街並みのひとつとされています。
旧市庁舎
グダニスク旧市街のメインストリートにあたるのが、「王の道」の異名をもつドゥーガ通り。色鮮やかな建物が並ぶ中、一番目に留まるのが高さ82mを誇る旧市庁舎。かつてのハンザ都市の代表として栄華を極めていたことが伺える荘厳な建物です。現在はグダニスク歴史博物館になっています。中でもヨーロッパで最も美しい部屋の一つとされている評議会室、「赤の広間」は必見です。
ドゥーギ広場
旧市街中心にあるドゥーギ広場。周りは中世の家を再現した建物で囲まれているので、まるでタイムスリップしたような感覚になります。朝から賑わっており、夜はライトアップがされています。カフェでコーヒーを飲みながらゆっくり美しい街の様子を眺める…そんな優雅なリラックスタイムを過ごしてみてもよいかもしれません。
旧港
1361年にドイツ騎士団によりグダニスクの地がハンザ同盟に加わったことからグダニスクの貿易の繁栄が始まります。その後ポーランド王国の直接の庇護を得た16世紀から17世紀は、グダニスクの貿易と文化にとって「黄金時代」と称されるほど、様々な人や物資が活発に行き交っていました。
ドゥーギ広場を過ぎて緑の門をくぐると、そこにはグダニスクの代表風景、旧港が広がっています。貿易船への荷物の積み下ろしを行ったり、船のマストを立てたりするために使われていたジュラフ(ポーランド語で鶴の意)が再現されていたりと、貿易都市として栄華を誇っていた中世にタイムスリップしたような気持ちにさせてくれます。
聖母マリア教会
建設に約160年の年月をかけ、1502年に完成したゴシック建築の教会です。レンガ造りの教会としては世界最大級です。教会内の一番の見どころは15世紀に造られた、高さ12mもある天文時計と、戦災を免れたステンドガラスです。また400段の階段を登ると教会の塔の一番上からグダニスクの街並みを眺めることができます。バルト海の水平線まで360度見渡せるその風景は壮観です。
グダニスク造船所跡の記念碑
グダニスクは東欧民主化への機運を高めた「連帯」が発足した街としても名高いです。戦後、ソ連の衛星国となったポーランド。経済の停滞から民主化運動が高まり、1980年にこの地の造船所の労働員たちが連帯を発足。その中心にいたのは、造船所の電気工であった、レフ・ワレサ。彼は1989年社会主義体制が崩壊し民主化後初代ポーランド大統領となり、ポーランド民主化の父とされ今も名高いです。連帯による運動の波は、ポーランド全体そして東ヨーロッパの社会主義圏全体へと広がっていき、多くの国々が民主化を迎えることとなります。こちらの博物館では、連帯による運動をはじめポーランドの戦後の歴史を学ぶことができます。また、建物の外側には連帯へ贈ったプレートやメッセージが刻まれており、日本から贈られたものも飾られています。
シフィエンティ・ブリギティ教会
14世紀から16世紀に聖ブリジットに捧げる教会として建立。第二次世界大戦では、かなりの損傷を受けました。教会には琥珀で作られているマリア像があり、黄金で輝いてあるその姿は神秘的です。グダニスクは琥珀の町としても有名です。市民たちの寄付によって琥珀は少しずつ増えているそうです。またこちらの教会の神父さんは連帯運動に理解を示していたそうです。それにより、連帯は教会の地下室を秘密集会場として利用していました。
オリーヴァ大聖堂
グダニスク郊外のオリーヴァ(オリバ)という地区にある大聖堂。2本の尖塔が特徴的で、12世紀に建設された歴史のある大聖堂です(現在見られる建物は17世紀のもの)。大聖堂には7876本のパイプが使用されているパイプオルガンの演奏を楽しむことができます。その音色は世界一美しいと言われるほど。
また音にあわせて動く、天使たちの仕掛けはとっても可愛らしいものです。目と耳で楽しむことができます。
【グダニスク近郊のみどころ】マルボルク城
グダニスクから電車で1本、1時間ほど離れた場所にヨーロッパ最大の城砦マルボルク城があります。かつて権勢を誇ったドイツ騎士団が13世紀に建造した中世最大の要塞です。その大きさは東京ドーム4個半が入ってしまうほど。国家の建設を目指していたドイツ騎士団はこの地を拠点に領土を広げていき、更に政治や軍事だけではなく、経済や宗教の拠点とされ、マルボルク城は重要な役割を果たしていました。その後変わりゆく支配国とともに、お城も波瀾万丈な歴史を歩んでいきます。1997年に世界遺産に登録され、現在は博物館として食堂、調理室、教会などドイツ騎士団の当時の暮らしぶりを伺うことができます。