コトルとは
コトルは、モンテネグロ南西部、アドリア海から内陸まで深く入り組んだコトル湾の一番奥に佇む町です。『コトルの自然と文化歴史地域』として世界遺産にも登録されています。自然というのは、目の前に広がるフィヨルドのような景勝地コトル湾、そしてすぐ背後に聳える険峻な山々です。モンテネグロで最も人気のある観光地で、地中海クルーズの大型客船もよく立ち寄る寄港地です。
湾の一番奥という地の利があった為、コトルには古代より町が形成されましたが、本格的な発展は15世紀ころの約300年、ヴェネツィア共和国の統治下にあった時代に迎え、イタリア風の町並みが形成されました。統一されたオレンジの屋根と建築の高さ、様式などは大切に守られ、今日まで当時の姿をよく残しています。
コトルへの行き方、アクセス
コトルへは、航空便が多いクロアチアのドブロヴニクとモンテネグロの首都ポドゴリツァのいずれの都市からも車で約2.5時間で到着します。
コトルの訪れたいみどころ6選
コトルは、町の端から端まで歩いても僅か5分程度。しかしその小さな町の中に迷路のように小路が張り巡らされており、気ままに散策してみれば、いくつもの絵になる街角や広場、建築等に出会えることでしょう。
旧市街の城壁
町に入る前にコトル湾に突き出た先端から町の北側を望むと、湾の入口側に面した重厚な城壁が現れます。ヴェネツィア共和国時代に外敵の襲来に備えて造られた城壁がきれいに残っています。
旧市街の街並み
一歩旧市街に入ると、石畳の道が伸び、ルネサンス様式の建築群が迎えてくれます。ところどころにお店やカフェなどもあり、旅人の目を楽しませてくれます。ヨーロッパを代表する人気観光地の一つドブロブニクと比べれば観光客も少なく、ゆったりと町の風情を味わいながら歩いてまわる事が出来ます。
時計塔
町の正門をくぐるとすぐ目の前に現れる時計塔は、コトルのシンボル。その歴史は古く、1602年に建造されましたが、地盤が緩いせいもあって斜めに傾き、『コトルの斜塔』とも言われていました。しかし、1979年に起きた大地震で町に大きな被害が出る中、時計塔はむしろ傾きが矯正され、地震の被害もなく直立に立ち続けていた事から町の強さの象徴として、コトルの人々の心の拠り所にもなっています。
聖トリプン大聖堂
町の奥に位置する大聖堂。コトルの守護聖人でもある聖トリプンに捧げられていることからカトリック教会に属する(モンテネグロ自体は正教が多いですが、長らくイタリアの影響を受けた海岸部はカトリック系が多い)聖トリプン大聖堂と呼ばれています。コトルで最も古い建物の一つで、12世紀半ば、ロマネスク様式で建造されました。幾度にも渡る地震で大きな被害を被りましたが、信仰の拠り所としてその度に蘇って今日に至っています。
セルビア正教会
カトリックが主流のコトルですが、モンテネグロの過半数を占める正教会もあります。内部に入ると、カトリック教会では見られないイコンやイコノスタシス(礼拝堂と祭壇を区切るイコンが複数飾られた仕切り壁)が見られます。もしモンテネグロの訪問地がコトルだけなのであれば、国民性を知るために訪れてみたい場所です。
街の猫たち
コトルは『猫の町』としても知られています。小さな町中に数百匹以上の野良猫が暮らしていると言われ、あちらこちらで見かける事が出来ます。コトル市民にとっては、長い間猫を幸運の象徴として信じ、それ故大切にされてきました。