ブレッド湖とは
スロベニア北西部のユリアン・アルプスに囲まれた氷河湖で、「アルプスの瞳」とも呼ばれる美しい青い湖です。大きさは南北に2,120m、東西に1,380m、深さ30m、周囲は6㎞あります。湖畔には人口約8,000人の町があり、オーストラリア、イタリアとの国境に近いことから、17世紀にはすでに観光地として人々から人気がありました。
ヨーロッパ有数の別荘地としても愛され、セルビアの王族やハプスブルク家など、時の権力者たちも多く訪れていました。1860年にはスイス人医師が保養地を作り、日光浴や体操、泥パックなどの指導を行ったという歴史があります。
ブレッド湖への行き方、アクセス
ブレッド湖はスロベニアの首都リュブリャナから北へ55㎞のところに位置しており、訪れる際はバスの利用が便利です。また、鉄道とバスを使った行き方もあります。
バスでリュブリャナからブレッド湖までは所要時間は約1時間30分。鉄道のリュブリャナ駅に隣接しているリュブリャナのバスターミナルからブレッド行きのバスに乗ると、ブレッドのバスターミナルに到着します。そこから徒歩5分ほどでブレッド湖が見えてきます。
鉄道とバスを利用する行き方は、まずリュブリャナ駅からレスツェ・ブレッド駅まで向かいます。ここまでの所要時間が40分~1時間10分ほどです。レスツェ・ブレッド駅からブレッドのバスターミナル行きのバスに乗り、所要時間約15分で到着です。
ブレッド湖の見どころ3選
ブレッド城
湖面から約130mの崖の上に建っており、スロベニア最古の城の1つに数えられています。1004年に完成したこの城を、当時この辺りを治めていたドイツ皇帝ハインリヒ2世は、現北イタリアにあるブリクセンの司教に与え、防衛に当たらせていました。16世紀初頭に起こった大地震で申告な損害を受け、現在の姿に再建されています。
城内のテラスからはブレッド湖を一望することができ、その絶景に心奪われること間違いないでしょう。城内には博物館、カフェ、レストランやショップがあり、思い思いの時間を過ごすことができます。
ブレッド島
スロベニア唯一の島として、ブレッド湖の中心に浮かぶ島です。澄んだ水にはマスやウナギ、ナマズやコイなど20種類以上の魚が生息しています。
島へは「プレトナ船」という20人ほどが乗ることができる、昔ながらの手漕ぎボートで約10分かけて渡ることができます。プレトナ船の漕ぎ手である船頭の仕事は、父から子へ、代々受け継がれている職業で、ブレッドでも限られた人しか就くことができません。1950年頃から聖母被昇天教会に訪れる多くの人々を乗せてきた伝統ある船はエンジンを使わないので、環境にも優しいです。
聖母被昇天教会
8~9世紀頃に建てられたと言われ、15世紀にゴシック様式に改築されました。その際に主祭壇と、鳴らすと願いが叶うと言い伝えられている「願いの鐘」が設けられました。16世紀初頭の地震で損害を受けバロック様式で再建されることになりましたが、その後も地震の影響を受けたため、現在の教会の外観は17世紀ごろに再建されたものになります。
現在は結婚式場として人気を博し、ここで式を挙げる際は花婿が花嫁を抱きかかえたまま階段を一気に登らなければなりません。その数なんと99段。そのため、挙式が決まると花婿はジムへ通い、花嫁はダイエットに励むそうです。
【近郊】ヴィントガル渓谷
ブレッド湖から4㎞ほど北西に位置しています。トリグラウ山から流れるラドヴナ川の渓流で、小さな滝が連続するように続いています。
地元の人からは昔から知られていましたが、19世紀に地震学者のアルビン・ベラーや、製図家のヤーコブ・ジュメール、写真家のベネディクト・レアゲットポーターなどの目に留まり、その自然美が注目されました。
渓谷の終わりには落下幅13mもある、スロベニア国内で最も大きな滝を見ることができます。全長は1.6㎞で、足元は滑りやすいので歩きやすい靴で行くことをおすすめします。
【名物】ブレイスカ・クレムシュニタ
バニラクリームとカスタードクリームをシート状のパイ生地で挟んだ、ブレッド湖の名物のクリームケーキです。第二次世界大戦後にパティシエのイシュバン・ルカチェヴィックによって考案されました。60年以上に渡って親しまれている伝統的なスイーツで、シンプルな味わいが特徴です。