林檎の礼拝堂(サン・ヴィゴール・ド・ミュー礼拝堂)とは
ノルマンディー地域圏カルヴァドス県ファレーズ市近郊にあるサン=マルタン=ド=ミュー村。正式名は、サン・ヴィゴール・ド・ミュー礼拝堂。最初に建てられた礼拝堂の建立時期は不明ですが、16世紀初めに英国貴族による修復以降、村の礼拝堂として機能し続けてきました。しかし礼拝堂としての機能が止まり、1970年代から村はずれで打ち捨てられていた礼拝堂に目をとめたのが日本人芸術家の田窪恭治氏でした。田窪恭治氏は、サン=マルタン=ド=ミュー村へ移住し、資金集めから礼拝堂建物の修復、壁画の制作に10年以上の歳月をかけ、廃墟だった礼拝堂を再生させました。
林檎の礼拝堂へのアクセス
フランス北西部カルヴァドス県の県庁所在地カーンから、礼拝堂がある村近郊のファレーズ市までは公共バスが走っていますが、ファレーズ市からサン=マルタン=ド=ミュー村までの公共バスはなく、タクシー移動となります。礼拝堂付近ではタクシーを拾うことはできませんので、タクシーは往復利用が必須となります。
個人で行くには、バスの時刻表など事前の下調べが必須になり、容易に行ける場所ではないことから、ツアーで行くことがお勧めです。
林檎の礼拝堂の見どころ
イチイの樹とリンゴ
礼拝堂にはいり、後ろを振り返ると外には本物のイチイの大樹がたち、内部入り口まわりの壁面に施された林檎と枝が、外のイチイの大樹と一体になった姿が目に入ります。自然と人工、イチイとリンゴという異なるもの同士が調和したコラボレーションに目を見張るものがあります。
内部に降り注ぐ色
訪れる季節や時間帯、天候によって内部の印象が異なって見えます。礼拝堂内部で上を見上げてみましょう。修復にあたり、古い瓦の中に交ざって配置された6色のガラス瓦は、内部を幻想的に照らします。
壁画の十二単
壁に描かれた林檎の樹。枝葉が生き生きとし、たわわに実るリンゴから「生命」の強さを感じさせられます。そして、この絵はどのように制作されたのかというと、何層もの異なる色の絵の具を塗り重ね、ノミでひっかき下の層の色をだしているのです。