メディナとは?
サウジアラビア西部、メッカの北方約400kmの位置に佇む聖なる都市メディナ。アラビア半島の交易路の町として栄えてきたメディナに、622年、メッカで迫害されたムハンマドと信者たちがやってきます。新しいイスラム教を説き、多くの支持者を得る事が出来たムハンマドはメディナを拠点にメッカやその他の敵と戦い、632年にこの地で命を落としました。
ムハンマドが住み、墓ともなった預言者もモスクはイスラム教徒にとってメッカのカーバ神殿にも匹敵する聖地になり、メディナの街自体もメッカと並ぶアル・ハラマイン(二つの聖なる都)と呼ばれるようになりました。現在では人口が140万人にも及ぶサウジアラビア有数の大都市でもあります。聖地ゆえに異教徒が観光目的で街に入る事は困難でしたが、2022年に条件が緩和され、日本人の観光客でも訪れる事が可能になりました。
メディナはどこ、行き方、アクセス
メディナには空港があり、サウジアラビアの主要都市からフライトがあります。また、国際線が多く乗り入れるジェッダ空港からも高速鉄道で約2時間で到着することができます。また、陸路では、サウジアラビアを代表する観光地の一つであるマダイン・サーレからも約300kmの距離にあります。
メディナのみどころ
預言者のモスク
預言者ムハンマドが居を構え、最後に亡くなった地に建つモスク。イスラム教の中でも最重要聖地の一つで、多くの巡礼者が目指します。ムハンマドが存命の時代から小さなモスクが建造され、その後にメディナを治めた各時代の為政者たちが次々に拡張し、現在の巨大なモスクが完成しました。直近では2012人にも拡張工事が行われており、現在は100万人の巡礼者を迎える事ができると言われています。
上の写真の左手の方に見える緑色のドームがある所が預言者ムハンマドの墓です。巡礼者たちはこの墓を目指します。
異教徒はモスクの中に入る事は許されません。外からその様子を眺める事になりますが、ひっきりなしに巡礼者が現れ、敬虔な祈りを捧げていく姿には打たれるものがあります。
中に入れない異教徒の為に、預言者のモスクの歴史や建築構造を紹介する博物館がありますので、こちらも覗いてみると良いでしょう。
ヒジャーズ鉄道メディナ駅
ヒジャーズ鉄道は、1900年にオスマン帝国が重要都市であったダマスカス(現シリア)から聖地メディナ(並びにその南方にあるメッカ)を結ぶために敷設された鉄道。第一次世界大戦中にアラビアのローレンスによって破壊された鉄道としての姿の方が知名度が高いかもしれません。鉄道自体はもう走っていませんが、駅舎が往時の歴史を今日に伝えています。
ハラマイン鉄道駅
ハラマイン高速鉄道は、2018年に完成したばかりのサウジアラビア最新鋭の鉄道です。二大聖地(ハラマイン)を結んでいるのが名の由来です。多くの巡礼者が利用しています。異教徒はメッカの街に入る事は基本的にできませんが、メディナから中間駅があるジェッダまでの区間は利用可能です。
キブラティンモスク
メディナの北西部に位置するキブラティンモスクはムハンマドが存命中に出来た世界でも最も古いモスクの一つです。キブラとはアラビア語で方角を意味し、元々エルサレムの方角を向いて成されていた礼拝がこのモスクにてメッカの方向に変わった事が今日まで引き継がれています。
ウフド山
メディナの北側に聳える標高約1,000mの山ウフド山。この地はムハンマドがイスラム教徒を率いてメッカ軍と激戦を交わした地である為、イスラム教徒にとっても聖地のひとつになっています。