モロッコのカスバとは?
カスバとは、アラビア語で砦や城塞を意味し、防衛用の壁に囲まれた住宅や街を指します。北アフリカからスペインまで大小のカスバが点在しており、旧市街の広範な範囲を指すカスバもあれば、家数軒程度の小さなカスバも存在しています。今回ご紹介するモロッコ中部のカスバ群は後者寄りの中小カスバが多く含まれます。
モロッコを南北に分断するアトラス山脈の南側、サハラ地域や東西の通商路が行き交っていた地域には、特に中小のカスバが多く残されており、『カスバ街道』と呼ばれております。主に17-18世紀にかけて建設され、日干し煉瓦を用いた独特の外観を呈しています。オアシスの中や山の斜面などに佇んでおり、モロッコの旅には欠かせない風景の一つとして人気です。
カスバ街道への行き方、アクセス
モロッコには幅広くカスバが点在していますが、特に見所が多いのが、マラケシュから南にアトラスを越えたワルザザート周辺から東のティネリール(ティンジル)まで延びる『カスバ街道』沿いです。マラケシュからワルザザート間はバスを利用できますが、カスバをいくつか見るのであれば、ツアーを利用するか、車を貸し切って観光する形がおすすめです。尚、マラケシュからワルザザートの車での所要時間は、4時間前後です。山越えの道になりますので、車酔いにもご注意ください。
『カスバ街道』で訪れてみたいカスバ6選
アイト・ベン・ハッドゥ
サハラ砂漠やアトラス以南の地から北部の要衝マラケシュに至る重要通商路上、ワニラ川を見下ろす斜面に建つのが単独で世界遺産登録されているアイト・ベン・ハッドゥです。11世紀頃に通商路を守る目的で建設され、増改築や改修を経ながら今日に至っています。
通商路が他へ移った20世紀以降は人口が減少しましたが、若干ながら生活している家族が残っています。
川を渡ってカスバ内に入り、迷路状に組まれた小路を歩きながら上部を目指します。カスバの奥にはもう一つ丘があり、余力があればそこまで歩いてアイト・ベン・ハッドゥを見下ろすのも良いでしょう。
ティフルトゥトのカスバ
ワルザザートの西側の郊外に位置するティフルトゥト」のカスバ。丘の上に建つ姿は壮観です。地域の他のカスバ同様に残念ながら保存状態はあまりよくなく、カスバ内部は一部レストランに改造されているものの、全体を周る事は難しくなっております。
タウリルトのカスバ
タウリルトのカスバは17世紀に建てられ、20世紀にフランス軍の駐留地として建設されたワルザザートの街よりも古い歴史を持っています。長らく軍事的、政治的利用されてきましたが、一部公開されています。外観は典型的なカスバの意匠をよく残しており、外から眺めるだけでも一見の価値があります。
アイト・ベン・モロ
ワルザザートの東方約20km地点に位置するスクーラにあるカスバがアイト・ベン・モロです。18世紀に建てられたこのカスバは保存状態も良く、現在は内部も修復されてホテルとして利用されています。
アミリディルのカスバ
アイト・ベン・モロと同じくスクーラに位置するアミリディルのカスバ。オアシスの中央部に位置し、17世紀の建設後、長らく通商路を守る要塞化された集落として機能していました。サハラの建築様式の影響も見られ、比較的保存状態が良いです。現在でも一部は私邸として使われ続けています。
ティネリールのカスバ
ティネリールのカスバは、現在の街よりも少し情報に位置する丘の上に建っています。軍事的な目的で建設されたこのカスバは比較的若く、創建は1919年です。外観も内部も保存状態は決してよくありませんが、東側からカスバ街道に入る際には最初に見るカスバとして目にする事があるかもしれません。