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アフリカ、ヌーの大移動と川渡り(タンザニア、ケニア)

2023 4/24
目次

ヌーの大移動とは

セレンゲティの草原にて(撮影:ユーラシア旅行社)

100万頭を越えるヌーと数十万頭のシマウマが1年をかけて、タンザニア北東部のセレンゲティ国立公園からケニアのマサイマラ国立保護区にかけて広がる大サバンナの中を時計回りに移動する習性を指します。この地域は雨季と乾季があり、乾季には食料(草)がなくなってしまう為、群れが生き残るには移動しなければなりません。総延長450kmから500kmにも及ぶ厳しい移動をこなします。

小さな川を渡るヌーの群れ(撮影:ユーラシア旅行社)

大移動は、特に幼少の個体にとっては体力的にも厳しく、また絶えず肉食動物にも狙われ、さらには急流の川渡りという難所も越えなければなりません。毎年多大な犠牲を払いながらも種を繋ぎ続ける為の不可欠な大移動は、大自然の壮大なドラマです。

ヌーの大移動の時期と場所

googlemapにヌーの経路をユーラシア旅行社が加筆

ヌーの大移動は、おおよそ4つの時期に分ける事が出来、最初にタンザニアのセレンゲティ国立公園南部から始まり、時計周りにセレンゲティ国立公園中央部から西回廊にかけて、そして夏場にケニア側のマサイマラに渡り、最後にセレンゲティの主に東側を通ってセレンゲティ南部に戻ってきます。

ヌーの大移動(1-3月頃)

薄茶色い毛並みの幼いヌーが多数!(撮影:ユーラシア旅行社)

1年の始まりはセレンゲティ国立公園南部から始まります。ちょうどこの時期にヌー(並びにシマウマ)は出産シーズンを迎えます。ンゴロンゴロ保全地域からセレンゲティ南部のンドゥトゥ地区はこの時期新鮮な草が豊富で、出産の最重要地域、多数のヌーやシマウマが毎年数十万頭もの子を産み落とします。この時期は正にベビーラッシュで、サファリに訪れるとたくさんの幼い個体が見られる事でしょう。

南セレンゲティ、ンドゥトゥ地区の豊かな草を食む(撮影:ユーラシア旅行社)
産まれたばかりのシマウマと母親(撮影:ユーラシア旅行社)

尚、大型ネコ科を中心とした肉食動物は基本的に固定の出産期がある訳ではないのですが、食糧事情が良い時期(セレンゲティ南部では1-3月、マサイマラでは7-9月)に出産するのは合理的な選択でもあり、実際にサファリでも大型ネコ科の幼少個体を見かける事が少なくありません。

セレンゲティのライオン親子(撮影:ユーラシア旅行社)

ヌーの大移動(4-6月頃)

子供たちの毛色も黒ずんだヌーの群れ(撮影:ユーラシア旅行社)

セレンゲティ国立公園南部で出産を終えて子供たちが少しずつ動けるようになると、群れは新しい草を求めて北上を始めます。やや西方向にずれながらセレンゲティ国立公園中央部のセロネラ地区から西回廊にかけてのあたりで草を食みながら少しずつ北上して行きます。この頃に薄茶色だったヌーの子供たちの毛並みも大人と同様に黒ずんで来ます。

列を成して進みます(撮影:ユーラシア旅行社)

ヌーの大移動(7-9月頃)

ヌーの川渡り(撮影:ユーラシア旅行社)

セレンゲティ国立公園は、5月頃から乾季に入って雨がほとんど降らず、草が食べつくされた平原に変わり果てます。ヌーの群れは、新鮮な草を求めてケニア側のマサイマラ自然保護区にさらに北上します。マサイマラはこの時期マラ川を始め、いくつかの急流がヌーの群れの行先を遮っている為、ヌーの群れは決死の川渡りを行います。

マサイマラ、ヌーの川渡り(撮影:ユーラシア旅行社)

渡河ポイントはいくつかありますが、川の中には一年で一番の御馳走を狙う世界最大級のワニであるナイルワニ、さらに両岸には群れを狙う大型ネコ科を始めとする陸生肉食動物たちも虎視眈々と機会を狙っています。

ヌーに迫るナイルワニ(撮影:ユーラシア旅行社)

ヌーの大移動(10-12月頃)

セレンゲティへ帰って来たヌー(撮影:ユーラシア旅行社)

マサイマラの栄養豊富な草を食んだヌー達はセレンゲティに戻る南下を開始します。大移動もいよいよ終盤、その年の状況によっても異なりますが、途中餓えや疲労、急流や天敵に捕まる等して約1割が犠牲になる事もあると言われています。

ヌーを食べたライオン(撮影:ユーラシア旅行社)

この後年末年始頃にさらに南下して南セレンゲティで再び出産シーズンを迎え、犠牲の数と同じぐらいの新しい生命がまた誕生します。そして新しい大移動のサイクルがまた繰り返されて行きます。

産まれたばかりのヌーと母親(撮影:ユーラシア旅行社)
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