ブリュッセルとは
フランス、ドイツ、オランダなど5ヵ国に囲まれ、 “ヨーロッパの心臓”と呼ばれるベルギーの首都、ブリュッセル。EU本部やNATOなどの機関が集まる国際都市で、12世紀頃から欧州の交差点(カルフール)といわれ栄えてきました。センヌ川沿いにあるこの美しい町は、ブルージュ、ゲントとならぶ運河交易都市であり、ヨーロッパの鉄道交通の中心でもあります。また多くのゴシック・バロック様式の大聖堂や王宮など、美しい歴史的建築物が多いのも特徴で「小パリ」とも呼ばれています。
ブリュッセルへの行き方、アクセス
ブリュッセルへは日本から全日空などの直行便で12時間ほど。空港から市街地までは、エアポート急行で観光の拠点であるブリュッセル中央駅まで20分ほどで向かうことができます。※現在運航スケジュールが変更されている可能性があるため、詳細は各航空会社のホームページをご確認ください。
ブリュッセルで訪れたい観光スポット5選
グラン・プラス
ブリュッセルの観光でまず外せないのが、旧市街の中心に位置しているグラン・プラス。1998年にユネスコ世界文化遺産として登録されました。建物に四方を囲まれた約110m×70mの巨大な広場という意味のこの場所は、かのヴィクトール・ユーゴーが“世界で最も美しい広場”と、またジャン・コクトーが“豊饒(ほうじょう)なる劇場”と称賛した、世界で最も美しい広場のひとつに挙げられます。中でも、町のシンボルと言っても過言ではない、1402年から1455年の間に建造された高さ96mのフランボワイヤン・ゴシック様式の市庁舎はひと際存在感を放っています。
小便小僧の像
グラン・プラスのすぐ近くに、世界的に有名な像があります。この像にまつわる話は諸説ありますが、よく知られているのは反政府軍がブリュッセルを包囲し城壁を落とそうと火薬の導火線に火をつけた際、ブラバン公の王子がおしっこをかけて消し、味方を勝利に導いたというもの。「プチ・ジュリアン(ジュリアン坊や)」という愛称で地元の人から愛されています。オリジナル像は、1619年に彫刻家のジェローム・デュケノワによって製作されましたが、盗難被害に遭ってしまい、残念ながら現在設置されているのはレプリカの像です。
王立美術館
ベルギー王立美術館は、設立政令以来200年以上の歴史を持ち、15世紀から近代までの約2万点もの幅広いコレクションを誇る世界屈指の美術館です。2013年開設のアールヌーヴォーや象徴派を展示する「世紀末美術館」、「マグリット美術館」、そして「古典美術館」など複数の美術館から成り立っており、ブリューゲル、ルーベンス、ヴァン・ダイクら16~17世紀フランドルの巨匠たち、そしてクノップフ、アンソールら象徴派も網羅しています。ベルギー美術史の400年の歴史を一挙に楽しめること間違いありません。
マグリット美術館
2009年にオープンしたシュルレアリズムの巨匠、ルネ・マグリットの作品を集めた美術館。「光の帝国」など代表作はもちろん、「ブリュッセルとマグリット」「戦争に対して」「マグリットとコミュニズム」「黒魔術」といった、異なったテーマの作品群も楽しめ、その所蔵は200点を数えます。マグリットの作品で頻出する鳩のモチーフは、のちにベルギー航空のシンボルにもなりました。ミュージアムショップには、ここでしか買えないグッズもあるのでおすすめです。
ノートルダム・デュ・ラ・シャペル教会
マロル地区にある、『バベルの塔』でも知られる画家のブリューゲルが1569年に埋葬された教会。13世紀に建設された翼廊はロマネスク様式、15世紀に再建された内陣はゴシック様式が用いられていて、尖塔は16世紀に完成したものです。その後、西の塔はスレート葺きの屋根を持つバロック様式のものに修復されました。
春限定公開の庭園
ラーケン王宮植物園
ラーケン地区のベルギー王宮敷地内にある、レオポルド2世がアフリカをはじめ世界各国から集めた植物が育てられている植物園で、毎年春に3週間ほど一般公開されています。建築家アルフォンス・バラット設計の建物は19世紀のアールヌーヴォー様式で、その外観の素晴らしさから「ガラスの宮殿」とも呼ばれます。温室群は1887年に建てられた「ザ・ピア」や、1874から1876年に完成したガラス製の最初の温室である「ウィンターガーデン」などがあります。ここは当時では珍しい背の高いヤシの木を栽培するとともに、完成と同時に王室のレセプションにも使用されました。
ブリュッセル・フロラリア
ブリュッセル郊外にある12世紀に建てられたグロート・ベイハールデン城では、毎年4月から5月の1ヶ月間だけ、庭園と温室が一般公開されます。ブリュッセル・フロラリアと呼ばれるこの庭園は、約14ヘクタールの敷地に400種類ものチューリップや水仙、ムスカリ等の色とりどりの100万本以上の春の花々で埋め尽くされます。著名なオランダ人フローリスト、マーティン・バッカーの指導のもと、1000㎡ある温室の中の1万本もの切り花を使用したフラワーアレンジメントは、期間中毎週変更されます。また、開催期間中の1日だけ特別な催しとして、ベネチア風の衣装を身にまとった人々が敷地内をパレードするのも見逃せません。
夏の2大イベント
中世にタイムスリップ?オメガング
「オメガング」は毎年7月の第1水曜日から金曜日までに、グラン・プラスで開催される歴史祭です。(2022年度は6月29日と7月1日に開催予定)14世紀にサブロン教会に祀られたマリア像を囲んで行進したことが祭の起源とされ、現在の形になったのは1549年、神聖ローマ帝国のカール大帝とその息子フェリペがブリュッセルを訪問した際に、歓迎の意を込めて行われたセレモニーからで、その様子を現在も再現しています。楽隊とともに、皇帝カール5世や宮廷貴族、司祭やギルド、騎士や道化師が登場し、続いて騎馬ショーや竹馬ショーも行われます。衣装の美しさもさることながら、皇帝や貴族に扮するのは実際の貴族の末裔という点にも驚かされます。ベルギービール片手に、タイムスリップした気分になれる圧巻のショーを体感してはいかがでしょうか。
2年に1度の祭典!フラワーカーペット
グラン・プラスの広場に50万本以上のベゴニアの切り花を敷き詰め、花の絨毯を創作する花の祭典、フラワーカーペット。1971年にはじまり1986年以来、2年に一回開催され、次回は2022年8月11日~15日に開催予定です。ベゴニアはベルギーの特産品で世界最大の生産量を誇り、全体の8割が輸出されているそう。幅70m×24mの花の絨毯を、100人のボランティアの庭師が8時間掛けて組み立てていきます。毎回テーマが設けられ、フラワーカーペットのデザインだけでなくそれに合わせた音楽も制作されます。夜のライトアップされた様子も絵画のような鮮やかさがあり、むせかえるような花の香りとともに楽しめます。
おすすめの絶景!ブルーベルの森(ハルの森)
ブリュッセルから車で約30分のところに、552ヘクタールの広大な「ハルの森」があります。毎年4月中旬~5月初旬頃に、野生のヒヤシンス「イングリッシュ・ブルーベル」が満開になり、森の中に霧とともに青紫の絨毯が現れます。たった2週間ほどしか見ることのできない、この幻想的な光景は一見の価値あり。さらに、5月半ばにはスズランが可憐な風情を漂わせます。一面に広がるブルーベルを眺めながら散策できる7kmほどのトレイルはおすすめの散策コースです。