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み仏の里・国東半島観光、六郷満山の仏教美術を巡る(大分)

2023 3/16
目次

国東半島とは

大分県の北東部、周防灘に突き出した丸い半島が国東半島です。くにさき、という読み方が難しい地名ですね。古くは国前、国埼、国崎と書いていましたが、鎌倉時代のころには国東の表記に変わっていったようです。現在の大分県国東市、豊後高田市、杵築市にまたがり、半島の付け根には宇佐市、別府市があります。

峨眉山 文殊仙寺(撮影:ユーラシア旅行社)

国東半島への行き方、アクセス

空路の場合:各都市から空路大分空港へ。北九州、福岡空港からも車で約2時間の距離です。
電車:新幹線の場合は福岡県の博多または北九州で乗換て杵築または宇佐や別府へ。いずれも博多から1時間40分程度。駅から各観光地へはレンタカーやタクシー、定期観光バスが便利です。
フェリー:大阪⇒別府、神戸⇒大分の夜行でリーさんふらわあ(所要12時間弱)。
国東半島の竹田津港へは山口県の徳山港からスオーナダフェリーが運航しています(一日5往復、所要約2時間)

国東半島に花開いた六郷満山の必見スポット6選

奈良時代から平安時代にかけて「六郷満山」と呼ばれる仏教文化が栄えた国東半島。この六郷満山とは何でしょうか?
まず、この時代日本に伝わった仏教は徐々に日本古来の八百万の神々への信仰と融合し、日本独自の解釈が生まれました(神仏習合)。大陸に開けた九州にありながら瀬戸内海を通じて都へ向かう豊後(今の大分)には早くから仏教が根付き、修験道の盛んになりました。伝説では養老2年(西暦718年)に仁聞菩薩がこの地域に寺々を開いたといわれ、中世には28の本寺、末寺まで含めると65ものお寺があったといわれています。
これらの国東の六つの郷(来縄・田染・安岐・武蔵・国埼・伊美)に分布する点在する天台宗系の寺院をまとめて六郷寺・六郷満山と呼びます。現在は宇佐神宮も含む霊場巡りとして31の寺が結ばれています。

コラム:全国の八幡神社の総本山・宇佐神宮
宇佐は国東半島の付け根あたりにあり古からの信仰の地でした。伝説では応神天皇の神霊がこの宇佐に顕れ、アマテラスオオミカミに次ぐ皇祖神「八幡大神」としてこの宇佐神宮に祀られました。八幡大神は神仏習合が盛んな時代には「八幡大菩薩」となり全国の寺に勧請され、平安後期には武士の信仰を得て八幡神社は全国に広まっていきました。

蓮華山富貴寺(れんげさん・ふきじ)

富貴寺は仁聞菩薩によって養老2年に開かれたとされ本尊は平安時代の阿弥陀如来座像で国の重要文化財です。
本尊を治める阿弥陀堂は平安末期(12世紀後半)の建物で、九州最古の木造建築物で国宝に指定されており、京都の平等院鳳凰堂、岩手の中尊寺金色堂とともに日本三大阿弥陀堂に数えられています。本堂そのものは国宝ですがさらに内部の壁画は貴重な平安時代の壁画として国の重要文化財に二重指定されています。

雨の日は壁画や阿弥陀像の保護のために内部の見学はできませんので注意が必要です。

蓮華山富貴寺(撮影:ユーラシア旅行社)

馬城山傳乗寺真木大堂(まきざん・でんじょうじ・まきおおどう)

六郷満山は本山・中山・末山の三山の体系にまとめられていましたがこの本山の本寺であったのが傳乗寺でした。かつては36坊をもつ六郷満山最大の寺院でしたが現在は江戸時代に建てられた真木大堂が残るのみです。しかし本尊の阿弥陀如来座像をはじめ平安時代の9体の仏像(いずれも国の重要文化財)が現存しています。堂々とした佇まいの不動明王、国内最大の大威徳明王像(ヤマーンタカ)の迫力に圧倒されます。

コラム:中世の荘園風景を今に留める世界農業遺産「田染荘」
中世以前、国東半島の多くの里は宇佐神宮に山は六郷満山に属していました。開墾された田の多くは宇佐神宮の荘園になりその庇護のもとで栄えました。
その後の歴史の流れで開発されてしまった所も多い中、真木大堂などがある田染の小崎地区の水田は昔のままに残っていて国の重要文化的景観や世界農業遺産に指定されています。1200年前にタイムスリップしたような風景が広がっています。

(撮影:ユーラシア旅行社)

足曳山両子寺(あしびきさん・ふたごじ)

国東半島最高峰の両子山(約720m)の中腹に位置していて山岳修行の道場として、また江戸時代からは六郷満山を総括してきました。ご本尊の千手観音菩薩は不老長寿・子授けの観音様として信仰を集めています。山門の石造仁王像は国東半島のシンボル的存在!また両子寺は紅葉の名所としても有名です。

足曳山両子寺(撮影:ユーラシア旅行社)

補陀落山千燈寺(ふだらくさん・せんとうじ)、旧千燈寺

西の高野山とよばれ最盛期には六郷満山最大級の寺院と讃えられた千燈寺も最盛期の寺院は戦国時代の動乱や明治時代の火災で失われてしまいました。一度は廃寺となったものの、現在の場所に再度開かれました。
旧千燈寺跡へは駐車場から片道20分ほどの道を歩きます(段差あり)。一枚岩に半浮彫に掘られた珍しい形の仁王像が今も佇んでいます。また、さらに奥の院へ進むと六郷満山開祖の仁聞菩薩入寂(最後)の地や1000基を超える五輪塔などを巡ることもできます。

補陀落山千燈寺(撮影:ユーラシア旅行社)

石立山 岩戸寺(いしだちさん・いわとじ)

国の重要無形民俗文化財に指定されている修正鬼会(しゅうじょうおにえ)の寺として有名な岩戸寺。「修正会」は燃える松明を振る勇壮な演舞で(旧)正月に全国的に行われる法会ですが、ここに鬼が登場するのは国東半島ならではです。
また岩戸寺は銘があるものでは日本最古の国東塔が残っています。国東塔は一般的な宝塔に蓮華座という台座が入ったもので、鎌倉時代から国東半島に多数作られました。また、入口を守る丸彫りの仁王像も銘があるものの中では日本最古のものです。

石立山 岩戸寺(撮影:ユーラシア旅行社)

峨眉山 文殊仙寺(がびざん・もんじゅせんじ)

「三人寄れば文殊の知恵」という諺で有名な文殊菩薩。悟りに至る智慧を司ることから転じて一般的な知恵や学問の仏として信仰されています。
文殊菩薩は卯年の守り本尊であるため文殊仙寺の本尊である文殊菩薩像は12年に一度卯年の大祭にのみ公開されます。
天保4年にできた宝篋印塔は高さ9mと日本一の高さを誇ります。
参道は約300段の石段になっています。

峨眉山 文殊仙寺(撮影:ユーラシア旅行社)

岩に掘られた仏様、熊野の磨崖仏

崖や洞窟の岩肌に掘った仏像、磨崖仏。世界的にはインドのアジャンタやエローラの石窟、中国の雲岡や龍門の石窟に代表されますが、日本にも小規模ながらいくつかの磨崖仏(石窟寺院よりは小規模)があります。平安時代から作られ始め、全国各地の磨崖仏のうち6~7割・80カ所強400体もの磨崖仏が大分県に集中しています。
国東半島に和歌山から勧請された熊野権現を祀る磨崖仏ができたのは平安~鎌倉時代後期と諸説あり定まっていません。
むき出しの岩肌に脇侍の姿もうっするら見える不動明王(8m)と穏やかな微笑みをたたえる大日如来(6.7m)が彫られています。
国内最古・最大の磨崖仏で国の重要文化財かつ史跡に二重で指定されています。
麓からの山道は鬼が一夜で築いたという乱積の100段の石段です。現地で杖を借りることもできます。

熊野の磨崖仏(撮影:ユーラシア旅行社)

コラム:足を延ばして臼杵石仏へ
日本の磨崖仏で最も有名なのは国宝の臼杵石仏です。
平成29年の追加登録を経て臼杵の磨崖仏61体が国宝という名刹です。
臼杵川の支流の深田川が丘を削ってできた崖にある磨崖仏で、順路に沿って、臼杵を代表する阿弥陀三尊や九品の阿弥陀如来像が並ぶ「ホキ(崖という意味)第二群」、「ホキ第一群」、「山王山石仏」、平成5年に修復を終えた中尊大日如来坐像がある「古園石仏」と4つのグループに分かれています。
途中途中に階段があります(70段程度)ので歩きやすい靴で行きましょう。

国東のおすすめグルメ、大分のお土産

大分県の愛媛県の間の海域、豊後水道は海の幸の宝庫です。国東半島の海の幸といえば太刀魚、「くにさき銀たち」です。7~10月が旬で肉厚でコリコリの太刀魚は刺身や甘辛くにつけてごはんに乗せた太刀重も人気です。
大分のブランド魚といえば速吸の瀬戸と呼ばれる、豊予海峡の荒波に生まれ育ち身が引き締まった鯵や鯖を一本釣りにして、大分市の佐賀関で水揚げされた特別な鯵と鯖だけが名乗ることがでる「関あじ」「関さば」も有名ですね。
春のヒラメ、夏のヒラマサ、秋のハモ、冬のブリなど旬の魚も楽しみましょう。豊後高田市のお蕎麦や国東の沖で取れるタコやクルマエビも人気です。
お寺のお守りはもちろんですが、「鬼の里」国東ならではの鬼にちなんだ激辛せんべいや鬼のお守りなど鬼グッズを探してみるのもいいですね。大分特産の地酒や焼酎、カボスなどの柑橘類、柚子胡椒なども定番です。

国東の新鮮な海の幸(撮影:ユーラシア旅行社)
ハモせいろ(撮影:ユーラシア旅行社)

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