アイガーエクスプレスとは
2020年12月5日、ヨーロッパで最も標高の高いユングフラウヨッホ駅への新たな路線が完成しました。新しく開通したアイガーエクスプレスは最新式の高速ロープウェイです。麓のグリンデルワルト・ターミナルからアイガーグレッチャー駅までの全長6483m、標高差にして1377mをわずか15分で移動することができるようになりました。1898年のアイガーグレッチャー駅までの開通から実に約120年ぶりのユングフラウ地域の新路線で、注目が集まっています。
アイガーエクスプレスのゴンドラは全26席の広々としたもので、360度ガラス張りになっています。そのため、高速の移動だけではなくその途上の風景も堪能することができます。アイガーグレッチャー駅に到着するまでに麓に位置するグリンデルワルトの町や標高3692mのヴェッターホルン、向かっていくアイガー北壁、ユングフラウ鉄道とウェンゲンアルプ鉄道との乗換駅であるクライネシャイデック駅を望むことができます。
憧れのユングフラウヨッホ
山岳愛好家のみならず世界中の人々の憧れの山岳地帯であるユングフラウ地域。言わずとしれたユングフラウヨッホ駅はユングフラウとメンヒをつなぐ標高3466mの鞍部に位置します。駅から直結のスフィンクス展望台からは標高4110mのメンヒ、標高4158mのユングフラウが望め、眼下にはアルプス最大、最長のアレッチ氷河が広がっています。
この地域は2001年に「スイスアルプス ユングフラウ-アレッチ」という名前でユネスコの世界自然遺産に登録されました。冬山登山用の特別な装備がなくても世界遺産の氷河へと近づくことができるのです。
ユングフラウ鉄道はアイガーとメンヒの山中にトンネルを穿って作られました。当時、このような高標高の場所に鉄道がつくられたことはなく、その実現には莫大な労働力と資金、高い技術が必要とされました。ユングフラウヨッホ駅直結の複合施設「トップ・オブ・ヨーロッパ」には鉄道の歴史を体感できる「アルパイン・センセーション」があります。また、氷河の中に作られた氷の宮殿「アイス・パレス」や一年を通じて万年雪に触れることのできる雪原「プラトー」なども見逃せません。
アイガーエクスプレスでユングフラウヨッホ駅へ
ユングフラウ山系への入口となるグリンデルワルト・グルント駅からアイガーエクスプレスを利用して、15分間で標高2320mのアイガーグレッチャー駅へと到着します。ロープウェイは約40秒に一本の間隔で出発しています。
ロープウェイを降りた後は新しく駅舎が整備されたアイガーグレッチャー駅の中を移動し、クライネシャイデック駅から来たユングフラウ鉄道に乗り換え。冬の時期でも屋外に出ることなく移動ができます。アイガーグレッチャー駅からユングフラウヨッホ駅へは約42分で到着します。
アイガーエクスプレスが結ぶ駅
アイガーグレッチャー駅
アイガーエクスプレスの開通に伴い、新駅舎が整備されたアイガーグレッチャー駅。標高2320mのこの駅からは駅名の由来であるアイガー氷河を一望することができます。
従来通り、グリンデルワルド駅もしくはラウターブルネン方面からヴェンゲルンアルプ鉄道を利用し、クライネシャイディック駅で乗り換えてユングフラウヨッホ駅へ向かう場合もこのアイガーグレッチャー駅で一度停車することになります。
グリンデルワルド・ターミナル
標高943m、ユングフラウ山系の麓に位置するグリンデルワルドに新しく整備されたグリンデルワルド・ターミナル。従来のグリンデルワルト駅とは異なることに注意が必要です。グリンデルワルド駅からは鉄道で一駅もしくはバスで5分ほどでターミナルに向かうことができます。 グリンデルワルド・ターミナルは複合施設となっているため、スイスの名産品であるチョコレートに時計、ウィンタースポーツ用品を購入できるショップやユングフラウ鉄道の公式ショップなどがあります。また、レストランやバーにスーパーマーケットまで入っているため、非常に便利です。
メンリッヘン駅
アイガーエクスプレスはもともとグリンデルワルドを起点にアイガーグレッチャー駅とメンリッヘン駅をV字の形で結ぶ「V-bahn」プロジェクトの一環として建設されました。そしてアイガーエクスプレスの開通前の2019年にグリンデルワルド・ターミナルとメンリッヘン駅を結ぶロープウェイがリニューアルされました。
グリンデルワルド・ターミナルから標高2342mのメンリッヘン山の山頂近くにあるメンリッヘン駅まで約30分で訪れることができます。メンリッヘン山からはアイガー、メンヒ、ユングフラウだけでなく、ヴェッターホルンやシルトホルンなど周辺の名峰を眺望することができます。