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アルプスの絶景とスイス鉄道の伝統を旅する憧れのベルニナ急行

2022 7/28
目次

ベルニナ急行とは

ベルニナ急行(撮影:ユーラシア旅行社)

数あるスイスの鉄道の中でも常に人気を誇るベルニナ急行は、東部の山岳地帯を南北に縦断するスイス屈指のパノラマ列車です。東部の古都クールから国境を越えてイタリアのティラーノまでの144kmを、約4時間から4時間半で結ぶルートの高低差はなんと1800m以上。起伏あるルートならではのスイスらしい絶景を車窓から楽しむことができるのが一番のポイントです。

ベルニナ急行(撮影:ユーラシア旅行社)

100年以上の歴史を誇る伝統の鉄道路線と周辺の景観は、2008年7月7日に「レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観」として世界文化遺産に登録されました。鉄道技術の粋を集めて建設されたベルニナ急行。高低差のあるアルプスを走る鉄道ならではのループ橋や高架橋など鉄道ファンでなくても感動してしまう光景が路線上に連続して現れます。

ベルニナ急行のルート

ベルニナ急行の路線図(C)Zacharie Grossen(CC BY-SA 3.0)

ベルニナ急行が結ぶクールからイタリアのティラーノまでのルートは大きくアルブラ線とベルニナ線の2つの区間に分けられます。合計で196本の橋と55本のトンネルを通過するこの路線はスイス最大の私鉄会社レーティッシュ鉄道により建設、運営されています。

グラウビュンデン州都のクールから高級リゾート地として知られるサン・モリッツまでが1904年に開通したアルブラ線(※世界遺産の登録範囲は列車の進行方向が切り替わるトゥージスからサン・モリッツまで)。また、アルブラ線は氷河特急との共通区間でもあります。
サン・モリッツからティラーノまでのイタリア国境を越えるルートは1910年に開通したベルニナ線となります。スイスもイタリアもシェンゲン協定の加盟国であるため、通常時は国境審査などなく出入国することができます。
※新型コロナの感染状況によっては、国境を越えてイタリアへ運行しない場合や入国審査が実施される場合があります。各種報道機関の発表や外務省、各鉄道会社のホームページなどで最新情報をご確認ください。

ベルニナ急行の乗車方法

2等車の座席(撮影:ユーラシア旅行社)

ベルニナ急行に乗車するためには予約が必要となります。1列に3席の座席となる1等車と1列に4席の2等車がありますが、どちらも景観を楽しむことのできるように窓を広くとったパノラマ車両となっています。車内での食事のサービスはありませんが、飲み物や軽食などの車内販売は利用することができます。
通常入国の際の審査などはありませんが、国境を越えてティラーノまで進む場合はパスポートの携行が必要になります。

車窓から眺めるベルニナ急行必見ポイント

ラントヴァッサー高架橋

ラントヴァッサー高架橋(C)Kabelleger / David Gubler(CC BY-SA 3.0)

ラントヴァッサー渓谷を横断する長さ142m、高さ65mのラントヴァッサー高架橋は、クールからサン・モリッツを結ぶアルブラ線の中で最も人気の絶景ポイントです。フィリズール駅とアルバノイ駅の間にある優美な石造りの高架橋は1902年に建設されて以来、100年以上現役で運用され続けてきました。渓谷の間を飛び越えるような高架橋を渡り切り、そのまま岩壁に穿たれたラントヴァッサートンネルに車両が吸い込まれていく様はここでしか見ることができません。

ラーゴ・ビアンコ

ラーゴ・ビアンコ沿いを走ります(撮影:ユーラシア旅行社)

「白い湖」を意味するラーゴ・ビアンコは標高2253m、ベルニナ線で最も高所に位置するオスピツィオ・ベルニナ駅のすぐ近くにあります。名前の通り、周囲の氷河から溶け出した水が流れ込んだ湖は乳白色の水を湛えています。不思議な色の湖とアルプスの山々の間を走る真っ赤な車体のベルニナ急行、まるで絵葉書のような風景がそこには広がっているのです。また、近くには小さめな黒い湖「ラーゴ・ネイル」もあります。

ブルージオのオープンループ橋

ブルージオのオープンループ橋(撮影:ユーラシア旅行社)

クールからの絶景の旅ももうあと残り少し、もうすぐイタリアとの国境という場所にあるブルージオ駅を過ぎて少しするとブルージオのオープンループ橋が現れます。1800m以上の高低差を歯車付きのラック式鉄道ではなく、一般的なレールを用いて走行するベルニナ急行ですが、360度一周するこの橋も高低差を調整するために作られました。ラントヴァッサー高架橋と同じく石造りのアーチ橋は100年以上大切に使われ続けています。ベルニナ線のシンボルとも言えるオープンループ橋を見れば、この鉄道路線自体が世界文化遺産に登録されたことに誰もが納得するでしょう。

沿線の立ち寄り必須スポット

乗車しているだけでも充分スイスの絶景と鉄道の伝統を堪能することができるベルニナ急行ですが、急行が停車する周辺地にも魅力的な観光地が多く点在しています。ベルニナ急行はロマンス語文化圏であるエンガンディン地方とイタリア語文化圏を結ぶ鉄道でもあるため、一度鉄道に乗車すれば2つの異なった文化圏の街々を散策することができるのです。

クール

クールの街並み

ベルニナ急行の北側のターミナル駅であるクールはグラウビュンデン州の州都であり、アルプスの南北を結ぶ要衝としてスイス国内でも一番長い歴史を誇る街です。石器時代から人の住んでいた事がわかっているこの街はローマ帝国からも重要視されていたことがわかっています。
後期ゴシック様式で建設されたクール大聖堂を中心に旧市街には中世の町並みが現存しているので、周囲を散策するだけでタイムスリップしたかのような体験ができます。

サン・モリッツ

サンモリッツの街並み(撮影:ユーラシア旅行社)

アルブラ線とベルニナ線の両線が乗り入れるサン・モリッツは、世界最古の高級スキーリゾートとして世界中のセレブから愛されています。老舗の高級ホテルやハイブランドのショップが立ち並び、オードリー・ヘプバーンが撮影のために長期滞在したことでも知られています。

セガンティーニ美術館(撮影:ユーラシア旅行社)

エンガンディン地方の厳しい自然とその中で暮らす人々を描き続けた、19世紀末の画家ジョヴァンニ・セガンティーニの晩年の傑作を展示するセガンティーニ美術館もぜひ立ち寄りたいスポットです。

ディアヴォレッツァ展望台

ディアヴォレッツァ展望台より(撮影:ユーラシア旅行社)

車窓から眺めていた雄大なアルプスの山々をもっと近くに感じることができるのがディアヴォレッツァ展望台。ベルニナ線のベルニナ・ディアヴォレッツァ駅から大型のロープウェイに乗り換えわずか10分前後で標高2984mの展望台に到達することができます。展望台からは標高4049mの主峰ピッツ・ベルニナを中心に3000m級のベルニナアルプスが屏風のように立ち並ぶ圧巻の光景!

ペルス氷河(撮影:ユーラシア旅行社)

さらに眼下にはペルス氷河が広がっています。

山頂駅レストラン(撮影:ユーラシア旅行社)

ロープウェイの山頂駅にレストランが併設しており、アルプスを目の前にスイスの郷土料理であるじゃがいものロスティなどを頬張ることもできます。

ティラーノ

イタリア側のティラーノ駅(撮影:ユーラシア旅行社)

国境を越えイタリアに入国すると、ベルニナ急行は間もなく南側のターミナルであるロンバルディア州ティラーノに到着します。アルプスから約1800mの高低差を下ってきたティラーノの駅前通りには本場のイタリアンレストランが立ち並んでいます。

カタカナの駅名標(撮影:ユーラシア旅行社)

ベルニナ急行と箱根登山鉄道はゆかりが深く、姉妹鉄道となっています。そのため、ティラーノ駅には日本から寄贈されたカタカナの駅名が入った標識が飾られています。

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