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セピア色の中世時代を彷彿させる サンシルラポピー(フランス)

2022 3/10
目次

サン・シル・ラポピーとは

岩山の上にあるサンシルラポピー(撮影:ユーラシア旅行社)

サン・シル・ラポピーは、渓谷を蛇行して流れるロット川沿いに聳える断崖上の丘陵地帯に家が密集する集落で、面積約18㎢、人口は僅か200人ほどの小さな小さな村です。13~16世紀頃に建てられた民家などが現在も残り、こじんまりとした石造りや木組みの家々が軒を並べ、煙突から煙が立ち上る光景は、おとぎの世界に迷い込んだような雰囲気を醸し出しています。フランスでは人口2,000人以下の村が約32,000か所あります。サン・シル・ラポピーは「フランスの最も美しい村」に認定されており、かつ「2012年フランス人が好きな村」では1位に選ばれました。そのほか、JATA(日本旅行業協会)が選ぶ「ヨーロッパの美しい村30選」にも選出されている、フランス人、日本人共に人気がある村です。

「フランスの最も美しい村」とは

都会から離れた歴史的な建物や文化、美しい景観がある小さな村で何かできないかとコロンジュラルージュ村の村長シャルル・セラク氏が、観光事業促進のために1982年に創設した「フランスの最も美しい村協会」。フランスには約32,000の小さな村があるなかで協会が認める「フランスの最も美しい村」の数は、2020年時点でわずか159村のみ。美しい村に認定されるには幾つかの条件をクリアし、審査を通らなければなりません。
応募条件は4つ。1.人口2,000人以下であり、都市化されていないこと、2.最低二か所以上の歴史的建造物や保護地区、遺跡が残っており、保全活動が行われていること、3.村議会で協会への加盟の同意が得られていること、4.歴史的建造物や保護地区、遺跡の活用や宣伝、開発、イベントなどを行う具体的な事案や積極的な活動企画があること。応募条件を通過した後には、建物の外観の均質性と調和がとれていること、道路網を整備していること、電線の地下埋め込み、村全体の美化努力、宿泊施設や案内所等の観光客受け入れ体制ができているかなど27項目もの厳しい基準によって審査されます。これらをすべて通過した村が「フランスの最も美しい村」へ登録され、「フランスの最も美しい村」を名乗ることができます。しかし、認定後に条件や基準を満たさなくなれば登録を取り消されるので、条件と基準を守り続ける村の努力と住民の協力なくしては得られないものといえるでしょう。

サン・シル・ラポピーへのアクセス

パリやヨーロッパ主要都市から空路もしくは高速鉄道等で、フランス南西部の拠点である大都市トゥールーズまたはボルドーまで移動します。そこから車(レンタカー)移動もしくは鉄道とバスの乗り継ぎで行くことができます。
車(レンタカー)移動の場合:トゥールーズからは北へ約130㎞、約1時間40分。ボルドーからは東へ約290㎞、約3時間。
▶鉄道とバス移動の場合:トゥールーズまたはボルドーからは、カオールまたはフィジャックまで鉄道で移動。トゥールーズからカオールまでの移動時間は約1時間30分、ボルドーからカオールまでは、途中乗り換えも含めて所要時間は約3時間~4時間かかります。カオールからは、フィジャック行きの路線バスに乗り、サン・シル・ラポピーのふもとにある「Tour de Faure」というバス停を目指します。

サン・シル・ラポピーの見どころ

セピア色のような村がノスタルジックを醸す(撮影:ユーラシア旅行社)

サン・シル・ラポピーの見どころは、なんといっても村全体といえるでしょう。石造りのこじんまりとした家が肩を寄せ合うように細い路地沿いに並んでいるだけの景色が可愛らしくみえます。豪華な彫刻が施された家ではなく、年月の経過で古くなった石材の色がセピア写真のように見せる質素な造りの家、壁を這う蔦や草がセピア色の世界に色を付けます。村全体が昔ながらの家だからこそ「ノスタルジックな雰囲気」、「中世のような世界感」、「おとぎの世界感」を与えてくれるのでしょう。こうした雰囲気を好んでアーティストが村に住み、昔ながらの家でショップを開いたりしていますので、そぞろ歩きをしている途中で、キラリと光るセンスあふれた品を売るお店に遭遇するのも楽しみの一つです。

中世時代の石造り&木組みの民家

村全体が中世博物館(撮影:ユーラシア旅行社)

13~14世紀に建てられたゴシック様式の石造りの家や15~16世紀に造られた木組みの家が現在でも残っています。14世紀半ばから15世紀半ばに起こった100年戦争の際に、ここでフランス軍とイギリス軍による戦いがあったものの、中世時代の建物が残ったことは奇跡ともいえますね。

村の守護聖人を祀るサン・シル教会

村の中でもひときわ大きな建造物なので見つけやすい(撮影:ユーラシア旅行社)

正式名称はサン・シル・エ・サン・ジュリエット教会。ロマネスク・ゴシック様式の重厚で可憐な姿が印象的で、村の中で中世の名残を最も顕著に伝え、歴史的建造物に指定されています。4世紀に幼くして亡くなったキリスト教殉職者の聖シルとその母である聖ジュリエットに捧げられた教会。12世紀にロマネスク様式で築かれ、その後は要塞として使われていたこともありました。人口増加に伴い、15世紀には名建築家とされるギョーム・カペルが設計しゴシック様式に大規模改修が行われました。現在も中世時代の彫刻や壁画が残り、昔の面影を伝えています。教会の中に入ると厚い柱状壁で窓が少ない造りになっており、中世時代には要塞としての役割を担っていたことがわかります。

展望台(城塞跡)からの眺め

展望台から見るロット渓谷の絶景(撮影:ユーラシア旅行社)

13世紀に建てられた城砦の跡地が、現在はロット渓谷やロット川、村を見下ろす展望台となっています。ここからの眺めは、まさに絶景の一言。渓谷を蛇行して流れるロット川、丘陵地帯の緑、年月の経過を感じさせる色あせたレンガ色の屋根瓦の家々をパノラマで眺めることができます。
展望台への道が少しわかりづらいところにあります。村の西側から入ってすぐ見えてくる広場の東側を見上げるとインフォメーションセンターの建物が見えますので、その裏にまわると展望台への道があります。一見、高くて登るのが大変そうに見えるのですが、見た目ほどの高さではありませんので、是非行ってみてください。緑豊かな田園風景と可愛らしい家々のコントラストを一枚の写真に収めることができますよ。

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